豪農の宿に泊まる(2日目-その6)


 蕎麦を食べ終わると、北方文化博物館を見学した。この博物館は、伊藤家七代目当主伊藤文吉氏がGHQによる農地解放後、財団法人を創設し自宅を博物館として、一般に見学できるようにしたものだ。
 豪農七代の歴史が詰まったこの建物は、60室からなる巨大な木造建築である。いろいろな逸話を聞いたが、印象的だったのは、土縁の天井に使われている、大杉(約30m)を切りだして運搬する時、家3軒に立ち退いてもらったという話である。とても、平成のこの世ではあり得ない事のように思う。現在でも八代目が、この館の一部に住まわれている。

 さて、我々が泊まった大呂庵は博物館の敷地内で、もとは伊藤家の身うちの別荘だった建物である。
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 静かで3組までしか泊まれない。客間もさることながら、パブリックスペースがとてもよく、一人旅で、読みためた本などを読むのにはもってこいの宿であった。
 一同は、テラスやら広間のソファやら、銘々好きな場所でくつろいだり、風呂に入ったりして、夕食の時間を迎える。大呂庵の料理は、決して派手ではないが、心づくしとでも言おうか、新潟の郷土料理であるのっぺ汁などもでる。
 特筆すべきは、羽釜で炊いた米の飯だ。田圃と言っても阿賀野川の氾濫が繰り返され、飢饉が続くことも多かった。新潟平野全体が、最初から良い水田に恵まれていたわけではない。伊藤家のような大地主が力を尽くして、治水工事や土壌改良などの事業をして、漸く良い米が採れるようになったのだ。そんなことを考えながら食べるご飯は、水晶のように光っていた。料理はみな、伊藤家にいらしたお客様をもてなすつもりで造られる。全て八代目の采配なのだ。

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 ここはそもそも「亀田のあられ、おせんべい」で有名な亀田製菓の本拠地、亀田がすぐ近くにある。そんな絵にかいたような米処の真ん中で、何故かお造りに大トロが出てきて、それがまた旨かった。野菜の炊き合わせや茶碗蒸しなどをそれぞれが持ち込んだぐい飲みで酒を酌み交わしながら味わった。今夜の酒もまた持ち込み酒である。こんな我儘を聞いてくれるのも、定宿故のことだ。ありがたや。
つづく
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by oishiimogumogu | 2010-11-15 22:05 |


酒・食・器そして旅のたわごと・・・


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