天ぷら遠足


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 なにより食べることが好きな仲間と葉山に向かう。勿論、『江戸前天ぷら 葉むら』で天ぷらを食べるためである。なにせ遠くて、行きたい行きたいと思いつつなかなか行ききれない場所にあるだけに、想いは一入だ。
 遠足気分でグリーン券を買って、悠々と逗子まで向かう。私以外は初めてなのだけれど、旨いものを食べに行くとなれば、足枷のない二人の御仁は遠路はるばるも当たり前のような顔で、電車に揺られている。車中は喰い物談義で盛り上がり、話に花を咲かせている間にもう逗子駅だ。そこからさらにバスに乗り、久留和海岸のバス停で下車。いつもは、車だが呑みたいし、季節もいいので電車にした。一杯目のビールの後は、Oh!Henlyと決めていた。

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鞘巻海老は3本。海老の頭も3つ。一本づつ、塩、天つゆ、レモンと楽しむ。

 我々が到着したのは、丁度昼の12時だった。店内にはまだ客が一組だったが、あれよあれよという間に予約の客で満席になってしまう。飛び込みのお客は、丁重に断られていた。遠くても不便でも、いい店には客が集まるものだ。因みに近所に住むタレントのピーターも常連だという。


左:海老のすり身、大葉はさみ 右:白鱚
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左:椎茸、鯛のすり身のせ 右:雲丹の磯部

 突き出しの後、天ぷらが出てくる。まずは、海老。やっぱりうまい!香ばしい胡麻油の香りをほんのり漂わせ、柔らかくぷりぷりの海老が、サクサクの衣をまとっているのだ。次に、海老の頭。海老しんじょう、キス、椎茸、雲丹・・・いつもは寿司屋でお目にかかるような抜群のネタが、主人の手によって素晴らしい天ぷらに揚がる。「うまい。うまい。」「お~、これはうまい。」「うそみた~い。」と、一同は驚嘆の声を上げながら、次々に平らげて行く。


左:山菜。鱈の目、こごみ、釣鐘人参 右:蛤(ミディアムレア)
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左:鮑 右:平木


 中ほどは、まさに春のネタ。山菜には「この苦みがたまらな~い。」と、良い香りまで味わえる。そして、貝類。驚きのミディアムレアの蛤。1.5cmの厚さの鮑。歯ごたえ最高の平木。「こんな蛤は、初めて食べた!」「この鮑、ヤバっ。」「平貝って、こんな上品だったけ?!」そんな会話というかつぶやきというか、ひとつ出てくるたびに驚嘆する。
 ビールから酒へ、他の二人は鄙願を、私は決めていた通り、Oh!Henlyをいただく。天ぷらにもばっちり合う。

 
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左:こしあぶら 右:薇

 貝の後は、再び山菜へ。この日だけで、(後でもう一品出る)6種類の山菜が出されたが、釣鐘人参を私は初めて食べた。御仁達も種類の多さに驚いていた。


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左:銀宝(ぎりぎり間に合う) 右:琵琶湖の天然鮎


 さて、宴酣にして、出ました。銀宝が・・・!そして、天然鮎も!まず、銀宝。本当に短季決戦の磯魚だけに、出してもらってラッキー(実は、ウチらだけ)だ。もっちりした食感にほんのりとした香りを味わう。甘い。そして、鮎。この上品な苦みは何なのだ!鮎は、いつも寿司屋で四万十産のものを食べているが、琵琶湖の鮎は全く別の味だ。鮎は、食べる物の味なのだ。四万十のは、岩海苔を食べているせいで、香りが強い。それに比べ、琵琶湖の鮎は、淡白で香りは然程強くないが、爽やかな鮎特有の上品な苦みがある。
 銀宝も鮎も食べながら「うまい」しか言えなかった。


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左:山独活 右:あおり烏賊左:月山筍 右:穴子 


 三度、山菜の登場。次はあおり烏賊。このもっちりした歯ごたえと甘みにしびれる。私は、烏賊好きなのだ。三人の中で一番少食のM氏がそろそろギブアップかと思いきや「やるときはやる!」と、言いながら平らげて行く。
 月山筍は筍好きの私のリストにも無かった珍しい筍。筍特有の歯ごたえは、小さいけどしっかりある。3年前の山形への旅を思い出す。「これは、うまいね~」そう言いながら、子供のように筍を頬張る夢8氏。
 そして、穴子。肉厚の立派な穴子だ。銀宝と比べると、やや脂がのってしっとりしている。甘みのあるプリプリの穴子だ。私は、銀宝をレモン塩、穴子を天つゆに浸けた大根おろしを乗せて食べた。

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左:愛知の極太アスパラ 右:〆のご飯は、お決まりの大星丼。大根おろしをたっぷり乗せてお茶浸けにする。


 天ぷらの幕引きは、極太の瑞々しいアスパラだ。薄衣に包まれて、これがまた旨い。アスパラ特有の香りがほっとさせる。そして、最後の大星丼。大きめの小柱の天ぷらをご飯の乗せ、花錦戸の松の葉こんぶが散らしてある。大根おろしをさらに乗せ、お茶づけにする。天ぷら屋の〆としては、右に出るものはないであろう。矢鱈旨い。連れの二人にも大好評だ。

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 デザートのシャーベット。葉むらのシャーベットは手作り。この日は、8種類位あって、3つ選んだ。と、いうか満腹状態のM氏が、権利を1個譲ってくれた。苺は思い出せるが、後の2個が思い出せない。はっさく?だったかな・・・味は覚えているけど、果物の名前を忘れてしまった。いつか、このシャーベットは全部制覇したい願望が、私の中にある。
 こんなこと言うと、「ウチは天ぷら屋だっ!」と怒られそうだが、ネット販売したら、口コミで全国から注文が殺到しそうなくらい旨いのだ。
 ・・・こうして気がつくと2時間が過ぎていた。まるで夢のようだ。あんなに食べたのに、M氏が何度も強調していたが、胸やけは全くない。我々は、其々の心に大きな満足抱え込み、海辺を少し散歩してからバスに再びバスに乗った。

by oishiimogumogu | 2011-05-24 22:42 | 旨い店


酒・食・器そして旅のたわごと・・・


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