新潟ツアー・のどぐろを食べに行く③

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          ↑ NIKON COOLPIX S4000

 昨日の昼飯。今回の新潟旅行の産物で作った。出雲崎の船橋屋商店で買った“いかの塩辛白づくり”と、長岡の米農家Tさんが作った椎茸、それに帰りの道の駅で買った白ネギで作ったパスタ。
 オリーブオイルにガーリックで香りをつけて、水洗いしたいかと斜めスライスした葱と小口に切った椎茸を炒めて火が通ったら、茹であがったパスタを投入。コンソメをほんの少しと塩で味付けして出来上がり。皿に盛ったら、パルミジャーノレッジャーノをすりおろす。烏賊のうま味と椎茸のぷりぷりした食感と香り、葱の独特の風味が三位一体となり実にうまかった。
 戻って数日たっても、こんな風に旅の余韻を楽しめる・・・と言うより、こんなことでもしていないと、がちゃがちゃした仕事に埋め尽くされそうだ!

 さて、続きである。競り見物の後は、宿に一旦宿に戻って夕日見物に出直した。私達が泊った旅館は、北国街道沿いにあるが、日本海に沿って走るこの道路には幾つかの夕日ビュースポットがある。この日の陽の入りは17:07。皆それぞれ愛用のカメラを持って、夕凪の橋へ向かう。私は、K100D(PENTAX)と、RX-100(SONY)だ。滅多に持ち歩かない一眼レフは、PENTAXと赤い文字が刺繍されたストラップで首から下げたが、全く様にならない。。。自分でも大いなる違和感がある。しかし、一緒に行ったT氏は、いつ2台も3台もカメラを首から掛けている。それを見慣れているせいか全く違和感がない。というか、カメラとセットのような人なのだ。

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左側2枚がK100D。右側2枚がRX-100

 この夕凪の橋は、海にせり出した橋の展望台のようなものだが、いつの間にか「橋の欄干に鎖を結び鍵をかけると恋が成就する。」という噂が広がり、欄干は鎖だらけだ。こういうのは、恐らく若者達の仕業なのだろうが、この街にこんなに沢山の若者たちが来ているのかと思うと不思議でならない。

 夕日が沈んでしまったら、風呂。風呂の後は、ビールと夕食だ。のどぐろをメインとして地魚料理が次々と出され、食卓の上に弾む心が舞い踊るような気分だ。

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1.吹き寄せ。野菜ときのこの炊き合わせ。出汁と三温糖で煮込んである。くどくなく爽やかな味わい。それぞれの野菜に味が染みて実に美味。2.蛸もずく。蛸は言わずもなが地物。もずくもご当地産。やさしい酸味ととろとろのもずくの風味。湯通しした蛸のレア感がたまらない。もずくを絡めてさっぱりといただく。3.はらこ。焼きしゃけとイクラ。私はご飯まで取っておいた。4.八寸代わり。左は燻製チーズ。真ん中は烏賊のエンペラの煮付け。右側はのどぐろの骨煎餅。骨煎餅の香ばしさがたまらない。昔はこの辺の子供たちのおやつだったのだろうか?だとしたら、こんなに羨ましいことはない。
 
 ビールの次は、前以て宅配便で送っておいた酒の中からシャンパンをポンッ。
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 異口同音に「うまいね~。このシャンパン。」と思わず唸る。干し草のような香りと、複雑なアロマ。なかなかよい味わいだ。いや、かなりいい。
 私は東ドイツ時代に作られたハンドカットボエミアングラス。小ぶりだけど飲み口がシャープで香りもよく立つので、好きなグラスだ。

 今日は、いつもと違い、これから電車に乗って帰る必要はない。そのままゴロンと寝てしまったところで、誰にも咎められないのだ。そうと決まったら、どんどん食べてどんどん呑むのだ。
 こういう時、口数が少なくなったとしても、それぞれが口福のオーラを纏い、それが宙で絡み合って勝手にコミュニケーションをとっている。”喰い仲間“とは、そんなものなのかもしれない。
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 仲居さんが、「おまたせしました~」と運んできたのは、待ちに待ったのどぐろ。昼間の競りの時、上がっていなかったので心配していたが、このところ少し時化が続いたので、ほんの少ししか獲れなかったらしい。その希少なこの魚を毎年楽しみにしている我々の為に、確保しておいてくれている。しかも特級品をだ。それがまもなく、この東京者達の胃袋に収まろうとしていた。
 
 のどぐろは塩焼きが一番だ。それを絶妙な焼き加減で焼いてもらって、その身を箸でこそいで口に放り込む。上品な脂の乗ったこの魚は、口の中で二重にも三重にもうま味を醸し出し、舌ばかりか心までとろける。お気に入りのぐい飲みで、大好きな日本酒をちびり。あるいはぐびぐびやる。正に至福の時である。
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 いつもそうだが、宿に許してもらって我々は吞む酒とぐい呑みを持参する。その酒を探すのもまた楽しい。ぐい呑みも、ああでもないこうでもないと思いながら選ぶ。そうやって呑む旅先の酒は、この上なく味わい深いのだ。
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 猫も跨いで通るくらいのどぐろをしゃぶりつくして、宴たけなわ。地魚の刺身盛りが運ばれてくる。ぼたん海老、小アラ、ハマチ、あおり烏賊。どれも昼間、競り合っていた魚達だ。熟成はしていないが、新鮮なのでぷりぷりの歯ごたえと、海の香りを味わう。瑞々しいピュアな刺身だ。

 ・・・また、日本酒が進む。
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 北前船が、伊万里あたりから運んで来たような古伊万里の器に盛られてきたのは、烏賊飯と焚き合わせだ。この烏賊飯の旨さと言ったらなかった。私が知っている烏賊飯は、散々煮込んで、煮詰まって真黒くなった煮汁を纏ったものだ。しかし、ここで出してくれたのは、最高に旨いうるち米が詰め込まれ、上品に炊きあげられた烏賊飯だった。薄味ではあるが、しっかりと味が染みた烏賊はふっくらとしていて、包み込まれたご飯は柔らかくモチモチしているのに、ちゃんと粒々感もあり、香りのあるやさしい味である。

 日本酒は、羽根屋 吟醸 中汲み。この頃になると、酔いも回り、酒の記録を撮影しそびれるが、この酒かなり旨かった。と、言う記憶は、きっちりと残っている。あと、もう一本何か開けた記憶もあるのだが・・・
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 さてこの車海老、20cmはあったか・・・。エビ好きの私は手で剥いて、むしゃぶりつく。まず、甘い。そしてぷりぷり。結婚式に行くと出てくる姿焼にいつも少しうんざりしていたが、あれとは全然違う。殻も柔らかくすんなり剥けるし、頭の味噌も苦みと香ばしさまじりあって旨い。
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 口細カレイの唐揚げ。他の料理は様々に違うが、のどぐろとこの口細カレイは、毎年必ず出てくる定番。まず、レモンを絞って尻尾と口を指でつまんで、縁側を前歯でポリポリ食べるのが地元流。その後、熱々の身をはふはふと口に運ぶ。さっぱりと柔らかい身は、クセがなくホクホクしている。この魚も、昼間の競りに上がっていた。
 気が付くと、いつからか手杓で酒瓶を傾けていた。それにしても、そろそろ満腹だ。

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お造りに出てきた、ぼたん海老の頭の味噌汁。余計な味などしない。ただただ海老達のいい香りがする味噌汁だった。

 皆で赤い顔をして、腹をさすっていると漸く「この後、お食事をお出ししてよろしいですか?」と、仲居さんが、海老の殻だけが乗った皿を下げに来て、お伺いを立ててくれた。もう動けないけど、「はい。そうしてください。」と答えたのはいいが、ここまで来るともう、眠くなって布団の中へ崩れて行きたい衝動に襲われ始める。
 ご飯をよそってもらい、海老の味噌汁を平らげるなり私はずるずると本能が導くまま、布団にもぐりこんでいた。そして三分後にはもう意識がなかった。

つづく




by oishiimogumogu | 2012-10-27 02:19 |


酒・食・器そして旅のたわごと・・・


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