新潟ツアー・のどぐろを食べに行く⑥

 いつもそうだが、意に反して毎日あわただしく過ごしている。あれよあれよと云う間に、1週間や10日なんて飛ぶように過ぎてしまう。まだ、先の事だなんて言っていられないのだ。その日が来るのを指折り待つ・・・なんて、遥か昔の遠い記憶だ。
 今なんか、気が付いたら過ぎてしまったなんてしょちゅうだ。忘れないうちにスケジューリングしておく。ちゃんとそうしているはずなのに、TVの録画予約だとか行くべき個展とか、ポロポロと取りこぼして悔しい思いを繰り返す。 「二度と同じ失敗をしないようにしなさい!」母は厳しくそうしつけたが、どうも“馬の耳に念仏”だったようだ。父は忘れ物をして叱られ、べそをかいている私を「自分の名前とお家の住所を忘れなければ、それでいいよ・・・」と慰めてくれた。だが、「電話番号だって覚えてるもん。」と言ってさらに泣いた私であった。
 先日買ったカメラの為に、32GBのSDカードを装着した。値段は¥1870。できることなら、私のアタマにも装着したいものだ。
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                 【先日のパン教室の風景。これもいずれ書こうと思う】
 
 
 と、云う訳で忘れないうちに旅の記憶を想い返そう。。。
 
 Tさん夫妻に別れを告げ、次に向かったのは、信州野沢温泉だ。魚沼、十日町と日本海からどんどん遠ざかり、信濃川を見ながら国道17号線を走る。
 山間の渓谷の風景はすっかり秋を纏っている・・・と書きたいところだが、断続的な道路工事でその度に片側通行になる。またその工事用の臨時信号の赤色の長いことに、半分江戸っ子の気短さをDNAに持つ私は、頭の血管が破裂しそうで、秋を纏った山の景色など目に入らなかった。
 お陰で、到着がほぼ1時間遅れて、夕暮れもせまる16時過ぎに漸く宿に到着した。

 さて、今宵の宿は、野沢温泉郷の老舗旅館『村のホテル 住吉屋』だ。ここで、温泉に入って、山の幸を堪能しようと言うのが趣旨だ。通された部屋は、“麻釜(おがまと読む)の噴湯”を眼下に眺める紅葉の間。
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野沢温泉には、30余りの源泉がある。その中で、この麻釜は、国の天然記念物ににも指定されていて、野沢温泉のシンボルとも言える存在だ。以前、ここで“麻”を煮て、皮を剥きやすくしたことから、この名前が付いたようだ。また、「野沢温泉の台所」として、特産品の野沢菜をはじめ、野菜を煮たり、温泉玉子を作ったり、また、籠などの材料であるあけびの蔓を晒したりと、ここで暮らす人々の生活に欠かせない。もう年々も前だが、その頃は、まだ近くに寄って行けた。しかし、今では鎖で囲われて、地元の人しか入れない。

 雪国の温泉場らしく、炬燵がしつらえてある。半袖のTシャツのままここに来て、炬燵がない家で暮らす私には、ちょっとヘビーに思えた。そんな私にお構いなしに、嬉しそうな顔をして既に炬燵に足を突っ込んでるのは、K氏である。彼は、富山県の出身だ。まあ、人それぞれなのだ。

 笑顔がチャーミングな仲居のお姉さんが、宿の説明をしてくれる。この宿のスタッフは、全員親切で感じがいい。
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 「では、ごゆっくり。」、丁寧にお辞儀をして、仲居さんが部屋を出て行った。
 
 「それでは温泉、温泉。」と、一同は、バタバタと浴衣に着替え、バスタオルをひっつかんで浴場に繰り出した。タイル張りにランプ風の照明で昭和レトロ感たっぷりの情緒ある温泉は、映画にでも出てくるようだ。
 ちょっと熱めの湯は、源泉かけ流し。出たり入ったりしながらゆっくりとその効能を体内に染み込ませるのがいい。だが、私は後の事を恐れてそこそこに浸かるだけに留めておいた。よせばいいのにじっくり湯に浸かったT氏は、あだ名のごとく茹でダコになり、滝のように汗を流している。きっと、暫くはこの状態だろう。私が恐れた後の事とは、これなのだ。

 その汗だくのT氏は、「温泉に行くんだからねっ。」と、出かける前日に防水カメラを買っていた。本業は写真家でカメラマニアだからしょうがないけど、この旅にも計4台のカメラを持参して、使い分けながら写真を撮りまくっていた。T氏曰く、「昔はさ、フィルムを替えればよかったんだけど、デジカメはカメラ自体を替えなきゃいけないんだものなぁ。」。なるほど、そういうこのなのかと納得する。私はこのRX-100で、今は十分だ。あまり深入りしないようにしないと・・・アブナイ。

 夕食までの間、皆で、温泉街を散歩することにした。
 「どうして日本人は、バスローブとスリッパで外出するのだ?!訳わからん。」学生の頃、フランス人の留学生が、流暢な日本語で言った。彼は、箱根で宿の浴衣姿で歩き回る観光客を見て、不思議に思ったらしい。「温泉街というエリアでは、それが普通なんだよ。」そう説明したが、腑に落ちないようで色々聞きまくる。ちょっとうっとうしくなって、こう言った。「うるさいなぁ。トップレスビーチでトップレスの人が、国中どこでもトップレスでいる訳ではないだろう?温泉街も浴衣もあと30年日本にいないと、キミには分からないよ。」と、云う訳で、彼は今も日本に住んでいる。くさやが大好物で、ワインが高いと嘆いているが、来年は来日30周年だ。
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 私達も湯あがりの浴衣姿でカメラ片手に繰り出した。すぐ隣のお土産屋で、野沢菜と偽野沢菜の話を散々聞かされ、出鼻をくじかれたような気分もしたが、狭くて急坂の続く石畳の上をカラカラと下駄を鳴らして歩くのは、とても面白い。土曜日なので、人出もそこそこあって賑わっている。まるで、迷路のような道筋を辿り、お土産屋を冷やかしたり、外湯の温泉を見たり、美味しそうな肉屋を見つけたり・・・
 
 一昨年も昨年も、出雲崎以外は、鄙びたというか、詫びたというか・・・そういう一軒宿だったから、今年は少し趣向を変えて、こんなところに来てみたが、案外みんな温泉やレトロな歓楽街の雰囲気も嫌いじゃないのだ。狭くて急で、旅館やホテルがぎっしり詰まった街並みの探検を堪能した我々は、お待ちかねの夕食の為に、少し急ぎ足で、宿に戻った。

つづく☆

http://youtu.be/Kga8agZ2-5E
by oishiimogumogu | 2012-10-30 12:54 |


酒・食・器そして旅のたわごと・・・


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