なんだか良く分からなくなるほど食べる旅④

 大したことではないのだが、いろいろ忙しい。また更新が遠のき、「唐津の話はまだ終わらないの?」というお言葉をいただいたりした。つまらないから、早く終わらせて次に行けと言われているのか、早く続きが読みたいと言われているのか微妙だ。
 前回で初めて動画をUPしたが、気付かず設定を非公開にしていた為、再生できないというクレームもついた。再生できないことを確認するため為YOU-TUBEからログアウトしたら、ログインIDが分からなくなってしまい、アカウントをもう一つ作ってしまった。そこにもう一度アップロードして、漸くなんとかなった。でも、疲れた。

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 今、読んでいる本。文芸春秋のHPにある書評は【林真理子の筍ご飯、村上龍のオムライス、筒井康隆のチーズと豚肉のブロシェットなど、当代人気作家のこだわりの料理を再現し、作品とともに紹介する。文学の香りのするお料理本。】他にも村松 友視や森瑤子など36名の作家が登場する。なかなかおもしろい。
 この本の料理写真を撮っているのが、佐伯義勝氏である。氏は今年1月に84歳で逝去されたが、料理写真の世界では草分け的存在。土門拳に師事し、辻留や千澄子さんとの仕事もある。私の好きな写真家だ。
※リンクのHPで佐伯氏の遺した料理写真が多数見られる。

 唐津くんち、2日目の御旅所神行は綺麗に晴れた青空の下で行われた。この祭り、実は雨が降ったら中止になってしまう。貴重な漆塗りの山を濡らすことは出来ないからだ。神事だから決まった日を動かす訳にも行かず延期はあり得ない。
 もしも悪天の為に中止になどなれば、この祭りに賭けてきた人々の想いは宙に舞う。天気の事だから誰を恨む訳にも行かず、準備してあったおくんち料理と酒で飲んだくれて憂いを晴らすしかないと云うことだそうだ。そう教えてくれたのは、hachiyamateiさんだ。私達は秋の澄んだ日差しに輝く曳山を見て嬉々としていたが、彼はまだ布団と戯れているのだろうか・・・

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左:8番山 金獅子 右:9番山 武田信玄の兜
 
 私達は、最初栄町の農協近くで御旅所神行を見物。間近で見る山は荘厳で美しかった。どの町も子供から大人まで、色とりどりの衣装を着た大勢の曳子が山を引き、掛け声をかけて練り歩く。
 昨晩の宵山とはまた雰囲気の違うおくんちを味わえ楽しかった。

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左:10番山 上杉謙信の兜 右:11番山 酒呑童子と源頼光の兜
 
 その場所で最後の山を見送って、私達は次のポイントに移動した。その道中唐津の街並みを垣間見た。商店街だから殆どの店は閉まっていたが、雰囲気はよくわかる。たまに開いている魚屋あり、中を覗くと、おくんち料理に欠かせない刺身の巨大な盛り合わせがどんと置かれている。どれも注文で造ってあるらしい。多分、それぞれの町の名士というか世話役さんの家に配達され、山を引き終えた曳子達に振舞われるのだろう。
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 中央橋を渡り、創業100年の唐津銀行の前を通り、有名な松露饅頭大原を見ながら次の見物ポイントに移動した。
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 右龍さんによると、「ここは、山が曲がって行くんだよね。それが面白いよ。」らしい。私は人々の頭の後ろからカメラを構えた。
 左手から山がやって来る。曲がり角に差し掛かった。グおぉーん。疾風が起きて山が90度に曲がり、あっという間に後ろ姿になった。凄い迫力だ。
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 昔と違って、周囲の建物が迫る狭い道路。両脇は見物客でいっぱい。そして電柱や電線がさらに山の往来を難儀にさせているが、そこを上手に回避するところがまた面白いのだ。角の右側には、街灯がありどの山もそこをすれすれに曲がる。角がある山が来て、ああぶつかる!と思ったら、さっとその角が折りたたまれた。右龍さんが云う通り、本当に見ごたえがあって面白かった。

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左:3番山 亀と浦島太郎 右:神社の神輿

 直角に曲がる山を何度も見送って、我々はおくんち料理を食べに出かけた。あ、いや結果的にそうなってしまったのである。向かった先は、胃腸薬で有名な三光丸の家。
 「三光丸と開花堂には、挨拶に行きたい。」そう仰っていた先生であるが、どうも今朝は体調がすぐれず出かけられなかった。その名代で双龍窟のお二人と、先生の息子であるGさんが行くと言うので、私達もくっ付いて行った。最初は、外で待っているつもりだったのに「どうぞどうぞ」と招かれ、図々しく2階に上がって、広いリビング一杯に並べられた、おくんち料理を見た。そして、「どうぞどうぞ」というご主人のお言葉に甘えて、さらに図々しく箸を伸ばした。ビールも呑んだ。
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 この家も町の名士だから、もうあと数時間でこのリビングも曳子達で一杯になるに違いない。その様子が心に浮かんだ。それだからおくんちはいいのだ。そうも思った。
 ご主人は、祭りの装束、内襦袢を着ていた。絹のはっぴでとてもきれいだったが、裏側を見てさらに仰天した。美しい富士山が染め上げられていた。見えないところにこれほどの装飾を施してあるところが粋だった。
 いろいろ食べてみたい料理もあったが、長居は無用だ。我々は三光丸を分けていただき、次の開花堂は向かった。
 
 開花堂に行く途中で、御旅所神行クライマックスの曳き込みを見た。一順山が土の柔らかいグランドに入るのだが、車輪がスタックするのでなかなか進まないし傾いたりして、ここも曳子の腕の見せ所だ。しかし残念なことに、人だかりの後ろからでは肝心の車輪が全然見えない。なんとか雰囲気はつかみ取ったが、写真も撮れなかった。

 一行は、開花堂に向かう。ここでやっと、先生とhachiyamateiさんと合流できた。創業明治31年の和菓子の老舗だ。古い風情がある家の座敷に、先ほどの三光丸の家と同じく、所狭しとおくんち料理が並べてある。またまたそこへ図々しく上がり込み、おくんち料理の一部をいただく。「これ、うまいよ」勝手しったるhachiyamateiさんが、卵サンドを勧めてくれた。大皿にラップに綺麗に包まれた一口サイズの卵サンドが山と積まれている。しかし、彼はまだ半分あちらの世界にいるらしく、そのラップが剥けないでいる。私はは一つ頂いて、美味しくてもうひとつ食べてしまった。
 ここで、双龍窟ファミリーは、お昼を食べに行くということで、あまから編集長夫妻もそちらに出かけた。流石にこの後に控えた洋々閣のおくんち料理を思うと、手出し無用な気がして、私は先生とHachiyamateiさんといっしょに宿に戻ることにした。
 暇する間際、見ず知らずではあるが、これも何かの縁と思って、仏壇に線香をあげた。 

※この開花堂のお菓子「さよ姫」は、洋々閣のお茶菓子にも出ていたが、和三盆で作った非常におしいい落雁だ。あまりに美味しいので、知人にお土産で送り、自分用に3箱買った。

つづく

by oishiimogumogu | 2012-11-25 11:09 |


酒・食・器そして旅のたわごと・・・


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