なんだか良く分からなくなるほど食べる旅⑤(動画つき)

 久々にバンドの練習会でスタジオへ。事情があって、参加できないメンバーが一人いるから、何となく本調子ではないのだけど、なかなかよい雰囲気だったし、楽しかった。
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 私はキーボード。もっともっと練習しなけりゃなと思いつつ、なかなか出来ない。特に年末になると、気分的に余裕がなくなる。それに加え、短い間だけど、来月後半から資格取得のための講習に出なければならず、またもやバタバタしそうだ・・・。考えても仕方がない。とにかく一つづつクリアするしかないのだ。
 練習会が終わり、近場の小さなスペインバルへ。練習に来られなかったメンバーも合流してきて久々に4人揃った。食べるのも好き、呑むのも好き、だから話も弾む。でも空けたシャンパンが4本・・・よく呑む人達だ。

 唐津の旅は「まだ終わらないの?」と、云う声にお応え出来ず、もう少し続いてしまうのだ。

 さて開花堂を後にした私達は、唐津城を見ながら宿に向かって歩いていた。
 「東京の大学とかに行っていて、おくんちの時に帰省して、山を曳くっていうのいいよなぁ・・・」舞鶴橋にさしかかるとき、hachiyyamateiさんがそんな事を言った。なるほど世の中にはそんな人生もあるのだ。
 私などは、実家はあっても先祖代々そこに居る訳ではないから、故郷と呼ぶには至らない。また、自分自身も留まることをあまり好まず、できれば常に流れて居たい。それは多分、幼い頃からの持ち合わせている性分であって、友達が誰も知らないところを見つけ出すのが好きだった。私にとっての旅は、子供の頃からの興味の延長線上にあるのだ。何気ないhachiyamateiさんの言葉に、走馬燈のように淡い記憶が甦る。
 それにしても、体調のすぐれない先生が気掛った。

 洋々閣に戻って夕食までの間、少し自由な時間ができた。そこでひと風呂浴びて、館内を見て回った。
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 歴史とか、格式とか、そう云うことの前に、静かに心落ち着く空間があった。例えば廊下の隅のように、陽の光が届かない場所にさりげなく燈されている柔らかな光。古い木の枠に収まったレトロにゆがんだ窓ガラス。錦鯉が泳ぐ池の上に渡された廊下。ゆったりとした焼きものの本が沢山あるラウンジ。そして、美しい庭の眺め。
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 濡縁の下の敷石の上にある下駄を引っかけて庭に出た。ねじれた松の枝が見事だった。古い石灯篭・・・造園の知識はさっぱりだが、東京の片隅で暮らしているとなかなか縁がない日本庭園。しかもこの広い庭を一人で独占しているのだから贅沢な話だ。
 バックに空の青さを従えたこの風景をさらに演出するのは、海から漂ってくる波の音であった。海には何と不思議な力があるのだろう。ここから見える訳でもないのに、心の中に風景が広がっていく。
 何時かまた縁あって唐津を訪れたなら、その時は一人でここに滞在し、この庭の片隅でゆっくりと時の糸を手繰りたい。そんな事を想った。

 庭から戻ると、「今晩のおくんち料理を見に行こうよ。多分大広間に用意されている頃だから。」 hachiyamateiさんに誘われて、見取り図が無ければ一人では行けない道中を辿って、大広間に行ってみた。

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 白いんげんと黒いんげん
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 豚の角煮(東坡煮?)
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 この料理は、なんだかよくわからない
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 関東では筑前煮、ここいらへんでは多分「がめ煮」だろう
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 お目出たい盛り合わせ。正月のおせちに例えるなら、一の重だろうか・・・
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 からしれんこん
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 これも巨大なお節料理?
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 晒しくじら
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 言うまでもないが、枝豆
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 フルーツ(なし・柿)
 
 話には聞いていたが、これ程の大皿料理が勢揃いしている様子を自分の目で見たのは初めてだった。「す、すごいね・・・」ほかに言葉が出てこなかった。圧巻である。これが今日泊まっている客達の胃袋に収まるのだ。私は、やはり双龍窟ファミリーとお昼を食べに行かなくてよかったと胸をなでおろしていた。
 この大皿たちは、年に一度おくんちの時だけ登場するそうで、見事な古伊万里や美しい蒔絵の大鉢もあった。その大皿たちの真ん中に君臨するのは、アラである。今年のは、25kgだと聞いた。
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 それを、竹の舟に載せ、鍋のつゆががかぶるように、少しづつ移動させながら煮付けていくのだそうだ。これは、気の遠くなるような作業だろう。「だから、これ煮る人達は、腱鞘炎になっちゃうんだよ。」hachiyamateiさんの解説だ。

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 だだっ広くて柱もない大広間。今宵の宴の準備は万端。その様子をプロのカメラマンが撮影していた。そして驚いたことに、このカメラマンと連れの女性は、昨日「ちんや」で、すれ違っていた。奇遇なめぐり合わせである。
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 それぞれの席に用意された善。あとは、お客達を待つばかりだ。この大広間で今宵どのような宴が繰り広げられるのか。それは後でのお楽しみ。
 
 部屋に戻って、風呂上がりの先生とhachiyamateiさんと、滝が見えるラウンジでコーヒーをいただいた。飲みながら、この洋々閣との出会いだとか、伊賀へ旅をされた時のことなど、話して下さった。私にはよだれをぬぐうしかない様な話も多々あり、貴重なひと時だった。
 そうこうしているうちに出かけていた人達も戻って来た。私は、お休みになると言う先生の邪魔にならないように、宿のパソコンでメールやFacdBookをチェックしたりしていた。ネットに繋がったパソコンがあることは、有り難いことだ。
 
 まだ宴会までに間が合ったからちょっと双龍窟のお二人の部屋を訪ねた。私の好物である、とらやの夜の梅を切ってお茶を淹れてくれた。
 この部屋は、とても風情があり粋な感じがした。恐らくは、まだ遊郭であったころの部屋なのだろう。二間続きで、手前の部屋で酒を呑み、ちょっと摘まんで、その後は布団が敷いてある奥の部屋で・・・「フフフン」私は、気付かれないように下を向いたままほくそ笑んだ。いつもテレビの時代劇で見ていたお約束のシーンを思い出したからだ。
 おっといけない、ここでニヤつく為に来たのではなかった。私はお二人を誘って、宿に常設されている「中里隆」「中里太亀」ギャラリーへ行った。そこで、ああだこうだと物色。私は旅の記念にどれを買おうか、お二人の話を聞きながら考えていた。

 さて、いよいよ宴会が始まった。私はその時、Gさんと庭を散歩していた。大広間に続く廊下に続々と浴衣姿の人達が行くのが見えた。「もう始まるようですよ。」Gさんに言われて、二人で大広間に向かった。
 仲居さんに案内され、「先生のグループはこちらです。」と言われたので、その末席に座った。すぐに別の仲居さんがすっ飛んで来て「こちらは先生がお座りになるから、あちらから座って下さい。」と言われた。私達は慌てて従ったが、普通はどう見ても上座だろうと思われる方向が下座のようであった。
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 酒樽の蓋が勢いよく割られ、酒が振舞われた。料理は仲居さん達が、小皿に取って持って来てくれる。どの席からでもぐるりと見回せる座。今宵の宴には51名のお客人が集まったと聞いた。こんなに沢山泊っているのに、館内で殆どすれ違わないのが不思議だった。
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 それぞれのグループの代表者が自己紹介をし、女将と主人のあいさつ、その間に料理、酒そして余興と昼間の御旅所神行の余韻がまた呼び覚まされる。

 酔ったのだか、食べたのだか、踊ったのだか訳が分からなかった。そんななか、豚の角煮、辛子れんこん、がめ煮を食べ損ねた。しかし、色とりどりの卵焼きや海老やかまぼこは、2回か3回盛られてきた。
 あらは半味がお客達の胃袋に入った。それを明日の宴で食べたところに、煮汁で煮た大根をひれのように並べるのだそうだ。
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 これが洋々閣のおくんちだった。なんだかよくわからなかったが、そう云うことでいいのだと思う。何より楽しめた。
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 部屋に帰ると、続きが待っていた。私は、少しお付き合いさせていただいて、皆の注意を惹かぬよう布団にもぐりこんだ。

つづく
 
 




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by oishiimogumogu | 2012-11-28 13:36 |


酒・食・器そして旅のたわごと・・・


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