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春爛漫 その2


 外房へ春の味覚を貪る旅のメインは初鰹だが、一泊するので初日の昼と2日目の昼がある。こういう時、私はメイン料理とは趣向を変えて楽しみたいと考える。そこで、初日の昼は軽くカレーを食べる。山間の段々畑の中に嘘のような美しい景色を眺めながら、オリジナル豆カレーを味わった。

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鴨川には、まだこんな日本の原風景があるのだ。

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「草 so」というカフェギャラリー。窓が風景のフレームのよう。空は雨模様だが、落ち着ける空間。

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玄米と春野菜とひよこ豆のカレー。カシミール地方のカレーをアレンジしてあるようだ。マスタードシードなとが入っていて、ちゃんとスパイスを炒る処から作っているのが分かる。素朴で飾り気のない自然な味だが、美味しく印象に残る。


 このカレーに其々、コーヒーやらハーブティーやら好きなお茶と組み合わせた。夜の事を考えると、昼はこの位でちょうどいいのだ。居心地のいい店であった。

 2日目は、年に一度しか行かないのにすっかりお馴染みになってしまっている「村のピザ屋」だ。マスターが俳優の千葉真一に似ている。燻製小屋があり自家製ベーコンやプロシュートを作っている。勝浦で買った筍とトマト、それに桜エビを持ち込んで焼いてもらった。石窯があるのでこんがり美味しいピザが味わえる。

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左:筍とアンチョビのピザ。朝掘ったばかりの筍をそのまま渡して出来上ったのがこれ。生地はもっちりサクサクでコクがあり、筍の淡白な味にアンチョビが絶妙な塩味を加える。右:しらすのピザ。これも絶品。具としてのしらすと炒ってトッピングしてあるしらすの2通りを楽しめる。これも旨い。

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左:シンプルにバジルとチーズだけのピザだが、ガーリックの風味が旨みを倍増。生地のクリスピーな感じが引き立つ。右:朝採れトマトと桜エビのピザ。これも風味と食感が絶妙な一品。材料持ち込みでピザを焼いてもらうという我儘をいつも聞いてもらっているが、ここで食べたら宅配はちょと・・・と思ってしまう。


 こうして、趣向を変えた食事はなかなか楽しい。元来私は魚好きで、漁港付近へ出向く旅が多いが、いつでもお決まりの海鮮料理というのでは、芸が無さ過ぎると思うのだ。

  
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by oishiimogumogu | 2011-04-30 19:44 |

春爛漫 その1


 うっ・・・とうとう誕生日が過ぎてしまった。それはさておき、代々続く江戸っ子としては、この時期は肝の底から鰹が食べたくなる。私の場合その鰹は刺身だ。盛り付けられた氷の上でピンと立っていて、本人?もいつ刺身にされたのか分からない位の新鮮な初鰹でなくてはならない。
 ふくよかな味わい、魚特有の臭みとは無縁の爽やかな香り。瑞々しい喉越し。自信の表れとも言おうか、血合いの部分まで味わってほしいとわざと付けてきたりする。想像しにくいかもしれないが、新鮮な初鰹は淡白で、秋の戻り鰹のような強い風味はない。この味ばかりは、出雲崎でのどぐろを味わうのと同様、鰹漁港基地まで来なくては食せない。そう云う訳で、今年もまた勝浦に出かけた。


 2月に某寿司屋で蟹三昧をした時に「そんなに旨いと云うなら、行って喰ってやってもいいぞ」といきまくT氏が今回初お目見えになった。

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              2月の蟹三昧、蟹刺しゃぶ→


 3.11の震災で本当に出かけられるのかと気を揉んだ。でも、「旨いのを食わすから心配しないでおいで」と、割烹中むらの大旦那に諭されて出かけてみたのだった。当日、この大旦那は京都に出張中で留守になる為、実際腕を振るってくれたのは、修行を終えて戻っている若旦那の方だった。


f0238572_16162853.jpgまずは、突き出し。鰹のしぐれ煮


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前八寸。あなご粽寿司、飯蛸うま煮、鯛の子含ませ、蕨・蚕豆・厚焼き玉子、山独活金平、長芋羹・雲丹・ずわい蟹・おくら、新人参のムース、筍ふくませ巻塩煮、紀州うすい豆浸し。
どれも食べるのがもったいないくらいの彩で目でも十分楽しめた。八寸の醍醐味は、こういう手の込んだ美しい料理を贅沢にもほんの一口づつ味わえることだろう。うすい豆とは、スナップえんどうのような豆で、シンプルにおひたしにしてあったが、豆の瑞々しさが生きていて旨かった。T氏も絶賛していた。

f0238572_23513891.jpgきれいに巻かれた笹の葉を開けてみると・・・

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お造り。何も足さない、何も引かない。これが初ガツオの真髄である。食べたものにしか分からない究極の鰹。この刺身を切るとき、氷に手を付けて冷たい手で作業をする。

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鰹の湯〆、納豆ポン酢、筍のしゃぶしゃぶ、薬味いろいろ。これは、ここでしか食べられない究極の料理。小鍋の出しが沸騰したところに鰹の刺身(皮つき)をくぐらせ、臭みをとった引き割り納豆とねぎと茗荷の薬味を乗せ、和辛子をアクセントにしてポン酢でいただく。鰹を食べ終わったら、そこに筍を入れしゃぶしゃぶにして、同様にポン酢で食べる。薬味は少しだけ残しておいて、出しに入れそれをいただく。厳選した真昆布で取った出しに、ほんのり鰹と筍の旨みが加わり、さらに爽やかな薬味の風味で究極の旨さを醸し出す。絶品。

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左:蒸し鮑の肝ソースがけ。右:山形牛の南蛮焼き。特A5級の信じられないような肉のタタキに九条ネギに塩タレを絡めて胡麻が降ってあった。漁協と肉市場の仲買権とを持つ大旦那ならではの素材の引きには唸るばかり。これだから、毎年の中むら詣では止められないのだ。

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左:フランス・シャラン産合鴨ロース。とろける霜降り鴨。右:雲丹の箱蒸し。明礬を使わない雲丹は格別。

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左:伊勢海老と鱚、行者大蒜、太良の芽の天ぷら。これは天つゆでも塩でもなく浅葱を散らした出しでいただく。右:口替り。フルーツトマトのソルべ。トマトの甘みと酸味が絶妙。いくらでも食べられそう。

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左:金目の煮つけ。これをおかずに白飯を少々いただく。この煮魚の汁だけでご飯が食べられる。右:伊勢海老の出しの味噌汁。白の合わせ味噌。いい香りの味噌汁。

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水菓子:デザートは、苺のワインゼリー。さっぱりとした甘さにほのかな酸味。ワインゼリーの食感全てを包み込んで見事な味わい。

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こうして思い返しても、きっと何日も前から考えて準備をしてくれたに違いない。若旦那の想いの伝わってくる料理の数々だ。酒も珍しいのを色々呑んだ。T氏も満足してくれたようだ。今回は大旦那に会えなかったのが残念ではあったが、若旦那の渾身の料理に感激し、再訪を心に誓った。
 
 ホテルまで、若旦那自らが車を運転して送ってくれた。雨風はひどかったが、明日は晴れるらしい。部屋で呑み直してしたが、一時間も立たないうちに、一人また一人と沈没してゆく。旨いものを喰って呑んで寝る。真の楽しみである。
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by oishiimogumogu | 2011-04-30 00:57 |

焼き筍


 れの字様、焼き筍なんてわざわざ食べに行かなくても、すぐできますよ。

f0238572_15817100.jpg 筍を採ってきたら、外側の硬い皮をある程度剥いてこんな風に切ります。下側は包丁が入る所まで切ればいいです。
                                              



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アルミホイルを敷いて、魚焼きグリルで焼きます。火加減は、グリルの性能によって調整して下さい。焼く前に、サラダ油を表面に薄く塗ると表面の乾燥をある程度阻止できます。今回は焦げ目を優先したかったので、直火で焼いたが、ホイルで包んで蒸し焼きにすると、香りがとても良くなります。


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                出来上りです。ウチのグリルでは中火で7分くらいです。
                (表面に塗ったサラダオイルは感じません)


 こんがり焼いた筍に好きなぽん酢をたらして食べるのが美味しいのです。お試しあれ・・・

春何番か不明だが、やたらと南風が強い。仕事が溜まっているので、家ごはんとなる。
春の恵みと羽釜で炊いた田中ライス、それに小松菜とお揚げの味噌汁。
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          上から:野生のタラの芽と千葉の大多喜村の白筍。
          蒸し野蒜の辛子めんたいあえ
          新玉ねぎのアンチョビマヨネーズソース(刻んだアンチョビとマヨネーズ、
          フレンチマスタード、塩胡椒を混ぜたもの)

お薦めポン酢2種
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by oishiimogumogu | 2011-04-27 16:27 | つくろうシリーズ

春は筍


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 江戸屋で買い物をして店を出たらいい時間になっていた。暮れる寸前で夕餉の事を考えてもおかしくない。歳とともに思考のスピードは遅くなる一方であるが、これからちょっと顔を出す店に思いを巡らすスピードには、自分でも呆れるほど速かったりする。
 ナイルレストランでムルギランチか、銀の塔でビーフシチューか武ちゃんで焼鳥か、湯津上屋で蕎麦前を楽しむか、天朝で豪勢にてんぷらか・・・あらゆる店がめくるめく走り抜けていく。決めあぐねたが、春の暖かい夜風にふっと吹かれて心が決まった。
 築地に出て『はなふさ』に行こう。今時分ならきっと筍の焼いたのがある。急ぎ足に地下鉄に乗った。小さな店なので、一席空いていることを願いつつ。
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 あまり宣伝したがらない小さな居酒屋だけど、ここはワインも飲めるし、日本酒もそこそこ揃っていて、つまみがどれも旨いのだ。席は辛うじて空いてい運良く滑りこめた。
 日本酒の常温を頼んで、突き出しをつつきながら、お品書きの短冊を見上げた。どれを頼むか考えるのは楽しみの極みなのだ。

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上:突き出し(海老と若芽の生姜合え クリームチーズ入り白和え)
中:つぶ貝の刺身
下:焼筍、木の芽添え

 焼いた筍と煮含めをメインに刺身は貝。カラリと揚がった揚げ物(他の居酒屋では滅多に頼まないが)を二品。ここのつまみは何といっても素材がいい。シンプルなささっとした料理なのに、実に繊細で味わいがある。大好きな居酒屋のひとつ。心の中で何度も「うまいなぁ~」と目を細め、一献、もう一献と徳利を傾ける。難を言えば、胃袋の容量に限界があることだ。まだまだ食べて見たい料理があるのに・・・

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上:筍と若芽のふくめ煮
中上:白蝦の唐揚げ
中下:鶏ももの唐揚げ
下:〆の特製雑炊

 〆の雑炊をすすると出しの味が沁みわたった。もうこれで満腹。〆の〆に何とも幸せな気分を噛みしめて店を出た。春の夜風に当たりながら、筍のほのかな香りを反芻した。今日はこれで満足。

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by oishiimogumogu | 2011-04-25 16:38 | 旨い店

道具バカ④

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 江戸屋のボディブラシである。馬の尻尾の毛が使われていて、職人の手作りである。使った後、石鹸分をよく流して、毛の部分を下に向けて陰干しすれば、毎日使っても2年は有にもつ。使い心地は、すこぶる良い。適度な刺激があるのに、皮膚を削り取るわけではないので、ヒリヒリしない。それに背中の真ん中の溝になる部分までゴシゴシ洗える。マッサージ効果もあるので、血行促進にもなる。色々なのを使ってみたが、これが一番だ。今ではこれが無いと風呂に向かう気がしなくなった。多少荷物にはなるが、旅先にも必ず持って行く。
 江戸屋がこれからも長く続き、このボデシブラシを作り続けてほしいものだ。
 
 さて、それでは石鹸を擦りつけ、たっぷり泡をたてて、今日もさっぱりと一日の垢を落として来るとしよう。


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by oishiimogumogu | 2011-04-14 18:30 | その他

・・・その2

 生まれたときから、私には母方の祖母が一人いただけだった。その祖母が97年生きて、死んだ。4月3日のことだった。老衰で生命の糸がぷっつり切れたようにあっけなかったそうだ。通夜のとき、打覆をめくったら、いつもの顔で眠っていたはが、冷たい頬をして確実に呼吸をしていないのが分かった。
 収骨の時、頭、胴体、脚と配列は合ってはいるものの、紙のように薄くすり減り、割れて原形を留めない骨をこれ以上壊さないように気をつけて、箸でつまんだ。これが97年の年輪が刻まれた骨である。ちょっと痛々しいようだが、長寿とはそうしたものかもしれない。
 晩年は、耳が遠かった為、殆ど会話らしい会話をしなかったが、何を想って日々を送っていたのかもう少し知っておけばよかった。遺影に使われた米寿の祝いの時の笑顔を見ながら、その裏側にも思いを馳せてみたが、今となっては身勝手な妄想に過ぎないと苦笑した。
「大好きだったおばあちゃん、アノヨでみんなと楽しくやってよね」大往生への餞なのに、全く気の利かないセリフをつぶやいた時に、意識とは無関係に涙が一つ落ちた。





婆様の生涯に一曲
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by oishiimogumogu | 2011-04-07 18:30 | その他

・・・

 夕方、連絡があり長野に住む祖母が亡くなったという。先週に転んで腕の骨を折ったようだが、ギプスができないので、肘を曲げて固定して寝ていたようだ。それ以外は元気であったと、駆けつけた母が言っていた。97歳で骨と皮に痩せていたので、ギプスは無理であったらしい。
 祖母は急逝で原因もよくわからないが、明日通夜に行けばいろいろ話も聞けることだと思う。とにかく祖母にはご苦労さまと言って来ようと思っている。






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by oishiimogumogu | 2011-04-03 23:15 | その他


酒・食・器そして旅のたわごと・・・


by oishiimogumogu

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