新潟ツアー・のどぐろを食べに行く・最終回

 最終回をアップする間もなく、唐津に出かけてしまった。どのみち食べに行った訳で、そっちも盛りだくさんだから、戻ったらさっさと書いてしまおうと思っていた。しかし、なにもかも思い通りにはいかないもので、あろうことか旅先で“風邪”というのを土産に持たされてしまった。前にどこかで触れたかもしれないが、普段食べ過ぎ、飲み過ぎをたまにやるくらいで、体調を崩すなんてことは滅多にない。その反動なのか、風邪といっても軽く済ませると言うことが出来ない。
 今回も最悪。戻った翌日から、のどは腫れ、くしゃみと鼻づまりで、鼻の周りは他人のもののようだ。熱も出た。ピークで38.5℃。膝も腰もガクガクとかみ合わない様な感覚に襲われる。それでも仕事があるので、解熱剤を飲む。分かってたことだけど、薬の威力は絶大で体温は34.8℃まで下降し、今度は悪寒に悩まされる。元気ならまだ半袖でも平気な私が、オイルヒーターを2台持って来て、さらに毛布を身体にぐるぐる巻いて、ティッシュの箱を抱えてパソコンに向かう。高熱時より低熱時の方が、まだ意識が朦朧としないだけましである。
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 当然のことながら、食欲もない。喉ばかり渇くので、ネットスーパーを初めて利用して、GREEN DA・KA・RAを2ダース届けてもらった。¥1500以上買うと、配送料も掛らない。便利な世の中だ。
 そんな日々が続いたが、一週間たって漸く症状が鼻詰まりとくしゃみだけになって落ち着いてきた。あんなに食べていないのに、体重は差ほど減っていない。新潟でも唐津でも食べ過ぎなのだ。きっと。。。その模様をもう少し書いておこう。

 夕食が終って、食事処を後にした一行は、どうにか3階までの階段を上がり部屋にたどり着いた。そこから先は、三々五々。温泉に浸かりに行く人、寝る人とそれぞれに過ごす。私はもう一度風呂に浸かって、ビールを一杯飲んだところで、睡魔に勝てず沈没。
 途中、ふすまの向こうからT氏が発する壮絶な雑音で目が覚めた。そのうち止むかもという期待を裏切り何時までもうるさいので、おもむろにその寝顔を見降ろして「うるせーよ」と、ささやいたらとたんに止んだ。なんていい人なのだ。こんなにすぐ止むのなら、もっと早く言ってやればよかった。

 朝、目が覚めると、既に何処かへ消えている人、窓際でお茶をすすっている人、まだ死んだように寝てる人がいたように思う。時計は5時40分くらいだったか、外の麻釜の周囲の履き掃除が始まっていた。箒が地面を掠る音が清々しい。私は、手ぬぐいを持って、プラプラと外湯に入りに行った。住吉屋の前を右手に下ったところにある麻釜の湯である。小屋の扉を開けて中に入ると、脱衣場と温泉が一体となった簡易浴場だ。
 床に掘られた風呂は熱い。そろりそろりと入る。中で無暗に動くと、熱さが倍増するので、思わず「あっちぃー」と叫びそうになる。入ったり、風呂の淵に腰かけたりしながら、真っ赤になって温泉を味わった。
 
 風呂から出て、一旦部屋に戻った。T氏が何やらごそごそやっている。声をかけると、iPhon5がないというのだ。でも、この部屋にあることは確かだから、掛けてもらってバイブ音をたよりに探したいと言う。私は、T氏のご希望通り、自分の携帯から電話をかけた。すると思った通り、部屋のなかでバイブ音がする。どこだ?辿りついた先はなんとK氏のバッグの中であった。K氏のスマホは、テーブルの上に置いてある。どうも、取り違えたらしいのだが、それに全く気付かないところが傑作である。
 K氏は、野沢温泉名物の日曜朝市を廻ったらしいが、私はすっかり忘れていた。今度行くことがあれば、忘れずに冷やかしに行こう。

 さて、そんなことで時間をやり過ごしていると、朝食のお呼びがかかった。昨晩、あれほど食べたのに、朝は朝で腹は空く。みんな揃って、階段を下りた。
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 ご飯だけでなく、味噌汁もお代わりできる朝食。特におぼろ豆腐が美味しい。
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温泉玉子は朝温泉でつくった出来たて。こんなのが朝食に出るのは温泉ならではだ。朝食時にも、名物のお取り回し鉢が付く。

 朝食の後、身支度を整えながらここを発つ準備にかかる。チェックアウトは12時ということだが、次の予定はそうのんびりも出来ない。なんだか、名残惜しいような気がした。いつもと違う趣向で選んだ宿だったが、みんなとても喜んでくれた。記念に、食事の時に出た箸を買った。これがまた使いやすく、自宅でも重宝している。

 次に向かうのは、並ぶ蕎麦屋『せきざわ』。叔父の家が近くなので、プライベートでも2度ほど来ている。何と言っても鴨南蛮が絶品で、忘れられない。このツアーでも一昨年に訪れている。日曜日ということもあるが、この蕎麦屋、10月の営業は土・日のみ。蕎麦の刈り入れの為、他の日は営業していない。そんなことが重なって、希少感も手伝ったのだと思うが、10時40分に到着して、もう一人目の客が並んでいた。営業時間は11:30である。あれよという間に、長蛇の列が出来きあがる。我々は2番目で、あれこれしゃべっている間に開店時間が近づく。ここに入るには、並ぶのが当然だと、K氏も私も思っているので差ほど苦にはならないが、T氏はその激しいポリシーで並ぶことに抵抗があったようだ。それなのに、私達の前ではそんなことはおくびにも出さず、涼しい顔をして世間話を繰り広げるのだから、人間としての深みに溢れている。

 開店時間が来て、順番に中へ入る。もう見慣れた店内だ。折角、並んだのだし、という訳で、蕎麦を待つ間に生ビール。
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蕎麦は、三種の蕎麦が楽しめる蕎麦三昧と鴨南蛮を頼むことにした。初めに出たのは、生粉打ちの蒸籠。なめらかな舌触りと少しモチモチ感がある噛みごたえ。香りが柔らかい。せきざわの畑の蕎麦でないのが少々残念だが、打ち方が上手いのが、素人の私にもわかる。

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本日の蕎麦粉:長野県栄村/群馬県 赤城村
 
 次は、胡麻切り。一昨年も食べているが、胡麻の香りで蕎麦の香りが消されることもなく、どちらも微妙に香るのだ。また、蕎麦にまとわりつく水が甘い。そばつゆをつけ過ぎないように気を付けて、その繊細さを味わう。
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 胡麻切りを啜りながら、来た甲斐ありとご満悦。そばつゆも練られていて、本当に旨い。蕎麦三昧の最後は、粗引き。
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しっかりした歯ごたえと、太めの蕎麦は、いちばんそばつゆとのマッチングがいい。好みを言えば、これが一番かな・・・
 さて、お待ちかねの鴨南蛮。香ばしく焼目のついた青くびは独特の香りもあり、コクもある。葱と一緒に口に入れると、絶妙なマッチング。葱が鴨のうま味を最大限引き出すのだ。
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蕎麦は温かいつゆに浸っているのに、ちゃんとエッジを感じることができる。何と言っても、温つゆの中でも崩れないこの舌触りを私は求めていた。旨かった。
 デザートは、蕎麦粉で作った羊羹“むらくも”。小布施特産の栗が入っている。これを半分はそのまま。半分は、2~3滴のブランデーを振っていただく。
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これが甘すぎることもなく、ほんのりと蕎麦の香りもして、とても上品で美味しい。
 毎度、この昼の慌ただしい時間に訪問する羽目になってしまうが、是非一度蕎麦会席をいただく機会を作りたいものだ。
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 さて、2泊3日の旅も終盤だ。最後の訪問地、小布施へ向かう。
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 観光客で賑わう街並の中をぷらぷらと散歩しながら、お菓子を買ったり、酒を試飲したり、素晴らしい作家がいるガラス工房で片口やシャンパングラスを買ったりと、それぞれ気ままに過ごす。快晴で穏やかな天気だ。
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 小布施の中でも私が最も気に入っているのが、フランス菓子の店、『パティスリー ロント』。ここで、お茶をして、お菓子を買った。そしてついに東京へ向かう車中の人に収まった。

 渋滞も少しあったが、車中では旅の思い出話で盛り上がり、やり過ごした。途中で富士山が見えたので、写してみた。
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 夕映えの富士山が、この旅を祝福してくれているようでもあった。
 夜更け、心地よい疲れと共に帰って来た。せめて翌日くらいはなにもせず、ごろごろしていたいところだが、そうもいかないところが悲しい・・・

 このツアーを企画するようになって、毎回来年もするのかなぁ?と、思う。私はいいが毎回、新潟とのどぐろで、飽きてしまわないかなぁと思うからだ。でも、この拙い計画に会社を休んでまで、乗ってくれるメンバーは、そんな心配とは裏腹に、来年も当然行くつもりで居てくれるようだ。
 そんなことなら、来年は天候不順に見舞われて、船が欠航にならない限り、佐渡へ渡ろうと考えている。世阿弥の足跡を訪ね、北前船の復刻船を見学し、エンジンに頼ることなく内外を縦横無尽に航海した航跡に思い馳せると言う訳だ・・・。とか何とか言っても、本当の目的は、佐渡で採れた魚を存分に味わうことに他ならない。大して離れている訳ではないが、出雲崎近海の魚とは、全く違う魚介を食べ比べてみるのだから、我ながら楽しいプランだと思っている。佐渡には、モグ印のソーセージ工房もある。珍しい蕎麦だってあるのだ。
 三日目の夕方、高速船で新潟に戻って一旦解散し、新幹線で帰るもよし、都合が付くならもう一泊オプションで泊るもよしということにしたい。3日目の宿は大呂庵だから自分の家のようにくつろげるし、地味だが心のこもった旨い食事もだしてくれる。そんなことをうすぼんやりと考えながら、今回の旅の記録を〆括ることにしよう。

おしまい

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# by oishiimogumogu | 2012-11-10 00:20 |

新潟ツアー・のどぐろを食べに行く⑦

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 花屋で花を買うついでに、こんな写真を撮った。笑われるだろうが、ちょっとアートっぽくしたかったのだ。技術的な事は一切分からないが、ピンボケとか手ぶれなしに写っているから、まあよしとする。
 時々、花を差し上げることがあって花屋に行く。差し上げることはあっても、いただくことは滅多にない。食べられる訳ではないし、メンテナンスフリーで美しく咲き続ける訳でもないので、私には不向きなプレゼントなのかもしれない。実際、FaceBookに、ブルーの花の写真に「私だって、花の写真くらい撮るのだ。」と、コメントをつけてアップしたら、「この花は食べられるのですか?」とおちょくられた(笑)。
 まあ、何でもよいのだ。ただ単純に、人様が写した美しい花の写真にちょっと触発された出来心なのだから。

 もうひとつ、カメラにハンドストラップを付けた。探しまくって漸くこれだと思うものに出会った。かっこいい。ハンドメイドなのだ。嬉しさは隠せないので、写真を撮った。実物の方がいいが、仕方ない・・・
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 と、言う訳で話は続き、住吉屋の夕餉の様子からだ。

 「食事の時間は18:30からとさせていただきたいのですが、準備が出来ましたら、お迎えにあがります。」最初、部屋に案内された時、仲居さんはそう云った。別に部屋まで迎えに来られても差しさわりがある訳ではないが、散歩に行ったり風呂に入ったりと忙しいので、そのタイミングで部屋にいないかも・・・と、云う考えが過り、返事を一瞬躊躇した。
 その一瞬をさらりと捉え「では、お迎えは割愛させていただきます。お食事処は1階のフロントの前あたりになりますので、直接お越しください。もし、場所がお分かりにらないようでしたら、フロントにお尋ねいただければ、ご案内いたします。」「ああ、そうですね。その方がいい。」これで、余計な気遣いをしなしで済む。
 お客本位、出来る限りご自由に。でも、いつでも見守らせていただいています。そんなつかず離れず、過剰になり過ぎないサービスが行き届いている。

 散歩から部屋に戻ると、程なくインターホンが鳴った。「お食事の準備が出来ておりますが、よろしければ、お食事処までお越しください。」と。
 よろしくないはずがない。それぞれ持参したぐい呑みと日本酒を持って、一同そそくさと下へ降りた。
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 テーブルの上には既にすぐに酒が呑めるようにと、お取り回し鉢と銘々の八寸というか前菜がセットされている。
 テーブルの真ん中には、この日のスペシャルの「なめこの酒しゃぶ」がしつらえてある。

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箸付:芹胡麻和え
 
 味が濃くて、瑞々しい芹。ただのおひたしと思うなかれ、温泉の湯をさっと通している。これに、柔らかい味の胡麻だれがよく合っている。

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前菜:姫リンゴいくら盛・合鴨ロース・小茄子オランダ・丸十レモン煮・銀杏松景・とんぶりしめじ
 
 さて、まずは生ビールで乾杯!前菜を食べると、ここの料理のレベルの高さが分かる。期待できそうだ。これから始まる宴にわくわくする。
 献立の前菜にある“小茄子のオランダ”は、オランダ煮の事で、「西洋風の茄子の煮物」と云うような意味だ。その昔、外国から長崎に伝わった調理法や調味料使う料理を総称して「オランダ~」と、云っていた。この茄子も一度素揚げしてから、味を付けて煮てある。
 どれも、味つけは濃くはないのに、ひとつひとつにきっちりと味が染みていて、丁寧に作ってある。茄子もオランダ煮を私が作ったなら、もっと茶色に変色してしまうところだ。

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向付:信州サーモン昆布〆

 鱒と鮭をかけ合わせた魚だそうで、色は鮮やかだが、非常にあっさりしていた。山葵醤油で普通の刺身のように食べる訳だが、醤油も山葵も強過ぎるような気がした。つまり、少量でも醤油をつけたら醤油の味しかしないのだ。これだけは少し勿体ないような気がした。例えば、マリネした山芋の千切りなどを巻いたらおもしろいと思うのだが・・・
 
 さて、ここで「なめこの酒しゃぶ」を始めることにする。コンロに火をつけて、鍋の酒を沸かす。なめこは既に温泉の湯にくぐらせてあるから、さっと酒通しすればよい。
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 鍋に火をつけるとすぐに雪塩・かんずり・ポン酢が運ばれてくる。引き上げたなめこを好みに応じてつけて食べるのだ。
 私は、なめこにちょっとかんずりをなすって、ポン酢にさらっと泳がしてたべた。うまい!それぞれに好みの薬味と調味料を模索しているようだが、気付くと全員沈黙である。頬っぺたを落とさないように要注意だ。↓
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 ちゅるちゅると箸で従わせるのに少し苦労するなめこを味わいながら、こういうのが正真正銘の山の幸だろうと思う。
 なめこなんて、四角いビニール袋に入ってスーパーに1年中置いてある。味噌汁に入れるしか能がない茸だと思っていたが、こんな風にれっきとした主役料理になりえる事を知って感激した。

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進肴:地茸の土瓶蒸し(ムセッタ・椎茸・あみ茸・松茸・あわび茸)
 
 山の幸、第2弾。土瓶の中を覗いてみると、あるわあるわ。これだけの天然きのこを食べるのは、昨年の三水館以来だ。
 元来茸類には目がない方だが、私の場合、味覚だけではなく、体調を整えるのに非常に効くのだ。例えば、微熱があって関節が痛むような時、このまま放っておくと間違いなく高熱になるという時でも、茸鍋を食べるとケロリと治ったりする。
 この土瓶蒸しは、、茸のエキスがたっぷり溶けだしたスープに三つ葉の茎の香りが落ち、複雑な香りでとても上品な味わいだ。これを毎日飲むことができたら、病気知らずで生きていけるかもしれない。


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焼物:和牛香り焼き
 
 朴葉の上に乗った特上の牛肉を水コンロで焼いて食べる。焼き加減は、お好みで。T氏は、レアで食べた。他の2人は、ミディアム位で手を打ったようだ。私もそうした。柚子胡椒をちょっと付けて、待ち切れずに酢橘を絞って口に放り込む。柔らかくてとろけるようだ。付け合わせの焼きズッキーニにも朴葉の香りが移って、スモーキーで美味である。
 
 ここで、漸く献立の半分だ。
 
 そうそう、「お取り回し鉢」の説明を忘れていた。この日は、“しょうにいも・芋なます・掛け菜の煮物”だった。このあたりなら、何処の家でも作っていそうな郷土の味だ。これが、古い鉢に盛られ、食卓を囲む人々の間を行き来する。料理の合間合間で、摘まんで食べるのだ。普通の家庭でも、個々に盛りつけないで家族分のおかずを大皿に盛り付けて、それを取り分けて食べることが多いと思うが、そのおかずに当たる料理が、野沢の郷土料理と言う訳だ。
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 見た目、少々地味な料理だが、これがれっきとしたプロの味だ。例えばなますなんて、口直しに少し食べればいいくらいの正月のおまけのような料理だと思っていたが、これは違う。サラダ代わりに皿に取ってパリパリと食べてしまう。ツンとした嫌な酢の感じも余計な甘味もなく、実にうまい。T氏もしょうにいもがことのほかお気に召したようで、「写真を見ただけで、よだれがでるんだよ」と、話していた。掛け菜の煮物は、甘辛の味つけ。アミノ酸たっぷりのうま味があり、味も染みてよく煮えていた。ご飯が欲しくなる一品だ。

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蓋物:枯露柿薯養まんじゅう
 
 初めて食べる料理だ。じゃが芋の中に無花果が入っていた。表面にパブリカを振ってこのまんじゅうを柿に見立てているから、枯露柿という銘なのだろう。菊や芹、榎、木耳などの爽やかななあんに包まれて、とても美味。じゃが芋の新しい食べ方を発見した。恐らくは料理長のオリジナル料理だろう。

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 名物野沢菜は、こんな風に大きな葉に包まれている。私の祖母は、野沢から近いところにいたから、冬は毎年野沢菜を漬けていたが、こんな風に出てきたことはない。仲居さん曰く、乾かないようにとのことで、全くどこまでも心遣いの宿なのだ。感心する。
 そう云えば、さっき散歩に出た時にお土産屋のオヤジから、散々聞かされたのが、野沢温泉以外で加工しているものが沢山あるから注意しろということだった。あまり言うので、引いてしまった。そこで売っている「本物の野沢菜」すら買わずに出てきてしまった。それで結局、住吉屋で食べたこの野沢菜を買って帰った。
 ・・・本音を言うと、この六角形の鉢の方を土産に持って帰りたかった。

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揚物:零余子(むかご)のかき揚げ
 
 山の幸、第3弾。零余子なんて、八百屋でもすっかり見かけなくなったが、たまに零余子ご飯が食べたくなる時がある。素朴さと香りが好きなのだ。
 子供の頃にはこんなものが食べられるなんて知らなかった。ただ、気付くと零余子ご飯が好きになっていたのだが、いつごろどうして食べたのだか記憶にない。
 その零余子が、かき揚げになって出てきたのには、驚いた。今度、自分でも作ってみようと思う。
 零余子と川海苔のかき揚げに、酢橘をちょっと絞って、添えてあるパブリカの塩をパラリ。香ばしいサクサクしたかき揚げに絶妙なアクセントになって実に美味しい。

 献立では「酢物:やまくらげ」とあるが、探しても出てこないので、どうも写真を撮るのを失念したらしい。記憶を辿ると、この料理も素朴ながら、酢の加減がちょうどよく、独特の歯ごたえがあり料理の〆にちょうど良かった。

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(上)留碗:信州味噌仕立 (下)御飯:しめじご飯
 
 美味しいだしがベースの味噌汁は信州味噌の特有の辛味があり、これが麩や青菜などの具を包み込み美味しい。この味噌汁は南部鉄の囲炉裏鍋で持ち込まれ、仲居さんが、丁寧によそってくれた。
 ご飯は炊き込みかと思いきや、新米の香りを殺さないため、温泉でさっとゆがいたしめじを混ぜ込んであるだけだ。焚き込みも好きだが、新米の香りもしめじの香りも楽しめる、混ぜご飯もなかなかよかった。
 一同、満腹である。

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デザート:寄せ柿 長野パープル

 柿のゼリーよせ・・・とでも言ったらいいのか、食感が楽しい和菓子と新種の葡萄だ。この葡萄は、甘味は強くないが、水分がたっぷりでなかなか美味しかった。

 と、云う訳で、今宵の宴は御仕舞。何だかんだ言ってよく食べた。

 あ、そうそうお酒の紹介を。酒は「越乃寒梅 特別本醸造」「飛露喜 特別誂至高」。どとらも、料理に合ういい酒であった。・・・何て書いてはいるが、記憶はさだかではない。
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 いつだったか、学生の頃だったか社会人になりたての頃だったと思うが、銀座で石焼きステーキを御馳走になって、美味しい思いをしたことがある。州之内徹が亡くなって、現代画廊をとうとう閉めるというときに手伝いをしたので、そのお礼にと画廊の管理をしていた人が連れて行ってくれたのだ。
 しばらくは、富士山から切り出した石で焼いたうまいステーキを食べながら、画廊にまつわる思い出話をしていたが、途中からなにやら食べ物の話になった。前後の脈略などはとうに忘れてしまったが、私が「海の幸も山の幸も美味しいから、日本はいい・・・」みたいなことを言った。そうしたら「海の幸はよくわかるけど、山の幸ってなんでしょうね。山菜やキノコや栗の事かな?でも、現代に於いては、それ程メジャーではないですよね。だからと言って、畑で採れる野菜を山の幸と呼ぶのは、僕にはしっくりこないな・・・」と、相手の方は言われた。
 なるほど、「山の幸」と言う言葉は、しょっちゅう使われてはいるが、何を指して「山の幸」と言うのか、「海の幸」ほど明確ではない。山菜やキノコや栗などは、その季節をかすめるように現れて、あっという間に消えてしまうから「海の幸」に対するには、どうも弱いような気がする。
 それ以来、その方とはお会いすることもなく、今に至るが、長年、あのステーキの味と「山の幸」とは何かと言った方の言葉が、私に中に消えずに残っていた。
 でも、どうだろう・・・この住吉屋の料理をあの方がもしも食べたなら、少なからず「山の幸」を感じていただけるのではなかろうか。そんな気がした。

つづく

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# by oishiimogumogu | 2012-11-01 09:07 |

新潟ツアー・のどぐろを食べに行く⑥

 いつもそうだが、意に反して毎日あわただしく過ごしている。あれよあれよと云う間に、1週間や10日なんて飛ぶように過ぎてしまう。まだ、先の事だなんて言っていられないのだ。その日が来るのを指折り待つ・・・なんて、遥か昔の遠い記憶だ。
 今なんか、気が付いたら過ぎてしまったなんてしょちゅうだ。忘れないうちにスケジューリングしておく。ちゃんとそうしているはずなのに、TVの録画予約だとか行くべき個展とか、ポロポロと取りこぼして悔しい思いを繰り返す。 「二度と同じ失敗をしないようにしなさい!」母は厳しくそうしつけたが、どうも“馬の耳に念仏”だったようだ。父は忘れ物をして叱られ、べそをかいている私を「自分の名前とお家の住所を忘れなければ、それでいいよ・・・」と慰めてくれた。だが、「電話番号だって覚えてるもん。」と言ってさらに泣いた私であった。
 先日買ったカメラの為に、32GBのSDカードを装着した。値段は¥1870。できることなら、私のアタマにも装着したいものだ。
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                 【先日のパン教室の風景。これもいずれ書こうと思う】
 
 
 と、云う訳で忘れないうちに旅の記憶を想い返そう。。。
 
 Tさん夫妻に別れを告げ、次に向かったのは、信州野沢温泉だ。魚沼、十日町と日本海からどんどん遠ざかり、信濃川を見ながら国道17号線を走る。
 山間の渓谷の風景はすっかり秋を纏っている・・・と書きたいところだが、断続的な道路工事でその度に片側通行になる。またその工事用の臨時信号の赤色の長いことに、半分江戸っ子の気短さをDNAに持つ私は、頭の血管が破裂しそうで、秋を纏った山の景色など目に入らなかった。
 お陰で、到着がほぼ1時間遅れて、夕暮れもせまる16時過ぎに漸く宿に到着した。

 さて、今宵の宿は、野沢温泉郷の老舗旅館『村のホテル 住吉屋』だ。ここで、温泉に入って、山の幸を堪能しようと言うのが趣旨だ。通された部屋は、“麻釜(おがまと読む)の噴湯”を眼下に眺める紅葉の間。
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野沢温泉には、30余りの源泉がある。その中で、この麻釜は、国の天然記念物ににも指定されていて、野沢温泉のシンボルとも言える存在だ。以前、ここで“麻”を煮て、皮を剥きやすくしたことから、この名前が付いたようだ。また、「野沢温泉の台所」として、特産品の野沢菜をはじめ、野菜を煮たり、温泉玉子を作ったり、また、籠などの材料であるあけびの蔓を晒したりと、ここで暮らす人々の生活に欠かせない。もう年々も前だが、その頃は、まだ近くに寄って行けた。しかし、今では鎖で囲われて、地元の人しか入れない。

 雪国の温泉場らしく、炬燵がしつらえてある。半袖のTシャツのままここに来て、炬燵がない家で暮らす私には、ちょっとヘビーに思えた。そんな私にお構いなしに、嬉しそうな顔をして既に炬燵に足を突っ込んでるのは、K氏である。彼は、富山県の出身だ。まあ、人それぞれなのだ。

 笑顔がチャーミングな仲居のお姉さんが、宿の説明をしてくれる。この宿のスタッフは、全員親切で感じがいい。
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 「では、ごゆっくり。」、丁寧にお辞儀をして、仲居さんが部屋を出て行った。
 
 「それでは温泉、温泉。」と、一同は、バタバタと浴衣に着替え、バスタオルをひっつかんで浴場に繰り出した。タイル張りにランプ風の照明で昭和レトロ感たっぷりの情緒ある温泉は、映画にでも出てくるようだ。
 ちょっと熱めの湯は、源泉かけ流し。出たり入ったりしながらゆっくりとその効能を体内に染み込ませるのがいい。だが、私は後の事を恐れてそこそこに浸かるだけに留めておいた。よせばいいのにじっくり湯に浸かったT氏は、あだ名のごとく茹でダコになり、滝のように汗を流している。きっと、暫くはこの状態だろう。私が恐れた後の事とは、これなのだ。

 その汗だくのT氏は、「温泉に行くんだからねっ。」と、出かける前日に防水カメラを買っていた。本業は写真家でカメラマニアだからしょうがないけど、この旅にも計4台のカメラを持参して、使い分けながら写真を撮りまくっていた。T氏曰く、「昔はさ、フィルムを替えればよかったんだけど、デジカメはカメラ自体を替えなきゃいけないんだものなぁ。」。なるほど、そういうこのなのかと納得する。私はこのRX-100で、今は十分だ。あまり深入りしないようにしないと・・・アブナイ。

 夕食までの間、皆で、温泉街を散歩することにした。
 「どうして日本人は、バスローブとスリッパで外出するのだ?!訳わからん。」学生の頃、フランス人の留学生が、流暢な日本語で言った。彼は、箱根で宿の浴衣姿で歩き回る観光客を見て、不思議に思ったらしい。「温泉街というエリアでは、それが普通なんだよ。」そう説明したが、腑に落ちないようで色々聞きまくる。ちょっとうっとうしくなって、こう言った。「うるさいなぁ。トップレスビーチでトップレスの人が、国中どこでもトップレスでいる訳ではないだろう?温泉街も浴衣もあと30年日本にいないと、キミには分からないよ。」と、云う訳で、彼は今も日本に住んでいる。くさやが大好物で、ワインが高いと嘆いているが、来年は来日30周年だ。
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 私達も湯あがりの浴衣姿でカメラ片手に繰り出した。すぐ隣のお土産屋で、野沢菜と偽野沢菜の話を散々聞かされ、出鼻をくじかれたような気分もしたが、狭くて急坂の続く石畳の上をカラカラと下駄を鳴らして歩くのは、とても面白い。土曜日なので、人出もそこそこあって賑わっている。まるで、迷路のような道筋を辿り、お土産屋を冷やかしたり、外湯の温泉を見たり、美味しそうな肉屋を見つけたり・・・
 
 一昨年も昨年も、出雲崎以外は、鄙びたというか、詫びたというか・・・そういう一軒宿だったから、今年は少し趣向を変えて、こんなところに来てみたが、案外みんな温泉やレトロな歓楽街の雰囲気も嫌いじゃないのだ。狭くて急で、旅館やホテルがぎっしり詰まった街並みの探検を堪能した我々は、お待ちかねの夕食の為に、少し急ぎ足で、宿に戻った。

つづく☆

http://youtu.be/Kga8agZ2-5E
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# by oishiimogumogu | 2012-10-30 12:54 |

新潟ツアー・のどぐろを食べに行く⑤

 Oneday Onething・・・私の理想の暮らしだ。成すべきことは、1日1つ。あとは、呑んで喰って寝ていたい。それなのに、私の日々の暮らしは雑用が蓄積していく一方だ。片付けても片付けても神様が新しい雑用を用意してくれるおかげで、頭の中はいつもバタバタしている。
 忘れてしまっては困ることだけでもTo do list(やることリスト。しなければいけない雑用を期限と優先順位をつけて、終わったら消していく。)に書き込んでいるが、見るたびにうんざりする。それが現状なのだ。
 そのTo do listの項目を消すために、一昨日は朝から夜遅くまで出かけていた。横浜の青葉台~代官山~渋谷そんなルートだった。
 代官山で合間の時間に、蔦屋書店を覗いてみた。
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土曜日で人も多い。じっくり見ている時間もないし、買うつもりの本もなかったので雰囲気だけを把握するに留めたが、朝7時から深夜2時まで営業しているこの本屋には、時間を作って平日の午前中だとか、夜も遅い時間だとかにじっくりチェックしたいと考えている。
 同じDAIKANYAMA T-SITE内にある北村写真機店で、ちょっと買い物をした。RX100用のカメラケースだ。しかし、別売のストラップがなくて結局、それだけ家から注文する羽目になった。
 このT-SITEでは、何かのハロウィンイベントがあったらしく、仮装した子供やその親たちがたむろっていた。子供は大嫌いだが、魔法使いにかわいく仮装した子供は被写体としてはおもしろいと思った。そう思って見ていると、こっちを見たり、子供同士でじゃれあったりして、「あ、いいショットだ」と、思うことが何度もあった。でも、親の目が気になって、なかなかカメラを向けられない。また、顔を撮って、ブログに載せちゃうのもいいんだか悪いんだか見当がつかない。それで、後ろ姿を控えめにパシャリ・・・
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 この後は、渋谷公会堂で楽しい予定が待っていた。ライブだ。このライブレポートは、いずれの機会に譲ると言うか、まあ、気が向いたら書くかも・・・しれない。
 ライブの後、適当な店で軽く腹ごしらえをする。手打ちのタリアテッレ。海老とトマトのソース。感動する程ではないが、まあまあ美味しく食べた。
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 駅へ向かう途中、やはり何人ものハロウィン仮装の人とすれ違う。世の中と言うか、渋谷あたりでは、いろいろなハロウィンパーティの企画があるのだなと思う。
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いつか、もう少し色んな事が片付いて、余裕が出来たら、私もモトが分からないほど仮装して、ハロウィンパーティでゴージャスに遊びまくりたい。いや、目茶目茶旨くて楽しいパーティを自分で企画してもいいかな。わくわくする。でも、そんなのはいつの事になるやら・・・。

☆おまけの写真:渋谷公会堂のロビーにあった公衆電話。
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 それでは、旅の続きを・・・
 朝、宿をチェックアウトして、向かったのは長岡の三島郡、三島上条という集落だ。ここには、米農家のTさんの家がある。今回ツアーに参加しているメンバーは、全員ここの米を送ってもらって食べている。数年前から政府の減反政策で、米を作らない田圃で蕎麦も作っている。一昨年、何の気なしにその話になり、同行していた夢八氏が、玄蕎麦を少し持ち帰り、東京の新鋭展に紹介ところ、そこから波及して今では、数件の蕎麦屋でここの玄蕎麦、或いは蕎麦粉を使うようになっている。私も食べたが、コシがある美味しい蕎麦だった。

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ちょうど、納屋で蕎麦の実を挽いて、そば粉を作っていた。使っている機会は、精米機にアレンジを加えたもの。出来上がった蕎麦粉は、ふわふわでパパフパフだ。右側上の写真が、電動石臼。

 Tさん宅には、毎回お邪魔するのだが、いつも次の予定に追われせわしないので、今回は事前にお願いして、田んぼと蕎麦畑をじっくり見せてもらいたいと、リクエストしてあった。
 
 毎回ご飯を炊く度に、感動する旨い米。地元での奉納米品評会で何度も金賞を取っているこの米が、どこでどうやって出来るのか、その秘密にちょっと迫ってみたかった。昨年の日照りと猛暑で、新潟の米と言えども収穫量が減ったり、味に変化があったりと、多少の影響を受けていた。しかし、Tさんは「うちの田圃は山の中にあるからね~、猛暑もあんまり関係なかったよ。」と言った。言葉通り、昨年の新米もいつもと全く変わらずミルキーで甘いご飯が炊けた。

 「さっさと行って来ないと、東京の人だってこの後の予定もあるんだから・・・」米づくりと蕎麦づくりに深い愛情を注ぐあまり、つい話しこんでしまうTさん。奥さんから軌道修正されて、「そうだな、続きは田圃を見ながらするか。最初は、蕎麦畑。次に田圃を案内しますから。」と、立ちあがった。
 車幅ぎりぎりの狭い山間の農道をくねくねと登って行った先に、T家の蕎麦畑があった。
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蕎麦はもう刈り取った後だったが、残った茎が紫色をしていて、蕎麦畑が満開の白い花の頃を想像してみたりした。Tさんと夢八氏は、ここでどのくらい収穫があるだとか、天日干しがどうだとか少し専門的な話をしていた。
 ふと気づいたら、ここは我々の話し声と、風が木々を揺らす音、鳥が鳴く声のみで、その他の人工的な音がしない。毎日、都会の生活雑音にまみれていると、耳もそれに慣れているから気にならないけど、音源が極端に少ないこういう世界を私はことさら新鮮に受け止めていた。

 天気もいいし、のどかだし、この風景に自分の輪郭が曖昧に感じる気分を味わっていてふと思った。ここもTさんの職場のひとつなのだ。繁忙期は手伝いの人なども来るから大勢で仕事をするのだろうが、空と田圃の間でぽつねんと一人での作業することもあるだろう。そういう時は慣れないと、ちょっと寂しいかもなと思ったりした。

 田圃にも連れて行ってもたった。T家代々、苦労して開墾した田圃で、蕎麦畑同様山の中だ。
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驚くことに、この田んぼ専用の横井戸がある。普通、井戸は縦に掘るが、ここのは横井戸と言って、山の横腹を貫いている。山に降った雨を、木々の根が蓄え、時間をかけて土の粒子がろ過する。飲めるほど、ピュアでミネラルを豊富に含む湧水だ。この水を一旦、池に蓄えて、田圃に流す。
 話を聞いて、ここの米の美味しさの秘密が解明された。通常、田圃の水は、川や用水から引くのだが、こんな天然水で育つ米が不味かろうはずがない。

 Tさんは、田圃の説明をしながら、キノコを採ってくれた。原木栽培の椎茸も、採らせてくれた。
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70歳になると言うのに、身軽に山の斜面に入って行き、キノコを採ってくれるのだから、都会で軟弱に暮らす自分達より余程若々しい。
 と、感心して話すと、奥さん曰く「いやいや、それが仕事だから。」と。そうですかねぇ。。。。私など、お呼びもつかないと思う。

 Tさんのお米や蕎麦を食べ、その美味しさを少なくとも我々は大切に思っている。その米と蕎麦が出来る環境を初めて見ることが出来た訳だから、それは有意義と言う他あるまい。

 家にお戻ると、奥さんが蕎麦を茹でていてくれた。
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それは、昨年より格段に整った美味しい蕎麦であった。ふ海苔と山芋で繋いだ2種類の蕎麦を楽しんだ。我々に食べさせようと、丹精込めてくれている。思えばTさん夫妻との出会いは、偶然の積み重ねであった。人の繋がりの不思議さををしみじみ思った。
 
 ちょっぴりセンチメンタルな気分で、Tさん宅を発った。ご夫妻は、車の後ろ姿をいつまでも見送ってくれた。

つづく


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# by oishiimogumogu | 2012-10-29 00:36 |

新潟ツアー・のどぐろを食べに行く④

 早朝、T氏とカメラを片手に出雲崎の町並みをぷらぷらと散歩。近所のおばさんとすれ違いざまに「おはようございます。」と、挨拶をしたら「寒いですね~。」と、返事が返った。ところが、二人とも半袖で、素足に宿の下駄とサンダルをつっかけている。微塵も寒いなどと思っちゃいないのだ。「はい~。」と返したものの、何だかばつが悪いような感じがした。
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 去年とさほど変わらぬ風景だが、なんとなく都会からの空気も感じた。例えば、居住誘致の町営住宅として新築の妻入り住宅が建てられていたり、原宿にあるようなレザークラフトの店が出来ていたり・・・その一方で、今年中に昔からの浜焼きの店が廃業するとも訊いた。
 私が感じた“空気”が、この街にやさしいものであって欲しいと願いつつ、旅館の下駄をカラカラと鳴らして歩いた。

 一昨年から、朝食は宿ではいただかず、その代わりにおにぎりと味噌汁だけを作ってもらい、特産品の浜焼きを買ってきて、それをおかずにして外で食べることにしている。
 この日は『磯田鮮魚店』の浜焼きだ。現在、出雲崎で浜焼きを買える店は7件あるが、この『磯田鮮魚店』は、年内に閉店するとのこと。とても寂しい。
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 浜焼きと言うのは、全国でもいくつかるようだが、出雲崎の浜焼きの特色は海岸の砂を囲い、魚沼の白炭で丹念に串に刺した魚を焼くことだ。もともと、沢山取れた魚の保存の為に始まったそうだ。遠赤外線でこんがり焼きあげられた魚は、香ばしくうまみが凝縮されている。
 魚の保存なら、一般的に“干物”を想い浮かべるが、ここで干物を加工してる家は一軒もない。
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 宿の目の前の「いずもさき海遊公園」のベンチに座って、浜焼きの朝食を食べる。赤魚、烏賊、鯖、どれも旨い。この日は快晴。目の前の海は、眼もくらむばかりに輝いている。私は一昨年一緒に来たN女史が、「今までの人生で、最高においしい朝ご飯です。」と、言ったのを思い出した。

つづく

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# by oishiimogumogu | 2012-10-27 07:33 |


酒・食・器そして旅のたわごと・・・


by oishiimogumogu

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