人生の初物 その2


 さて、その専属運転手の運転する車は第三京浜に乗ると、ようやく思い通りに走れるようになった。どうやら混雑は、都内だけのことのようだ。お陰でそれ程遅れることなく店に到着した。
 この日も、店の前の駐車場は、あと一台のスペースを残して、いっぱいだ。お店の中も、グループやカップルなどで、満席だった。車のナンバーから察するに、殆ど遠方からの客のようだ。いい店は見逃されることはないのだ。
 
 我々は、カウンターに案内された。天ぷらは、実は私の大好物でもある。朝食抜きで運転する身としては、ガンガン食べまくりたい。しかし、その反対に年寄り達の胃袋スペースは、たかが知れている。とは云うものの、紛いなりにも誕生日の祝いの膳なのだから、少しは珍しいものや高級なネタも食べさせたい。予約の際、そういう我儘な相談もさせていただいた。有り難いことに「では、うまく見繕いますから、お任せ下さい。」と、いうことだった。

f0238572_15403580.jpg                   巻き海老とその頭





 
               

                            真櫨







                       雲丹の磯部








 ノンアルコールビールで、まずは乾杯。ほどなくして、山盛り大根降ろしとレモン。引き続き、お通しが運ばれてくる。
「松茸のムースと、だだ茶豆のお豆腐でございます。」
「へえぇ。珍しいわね。」「旨いねぇ。コレ。」
「え、これは巻き海老と云うの?お父さん、これなら尻尾まで食べられるわよ。」
「これは、大葉の中に何が入っているの?里芋?へぇ~」
「この椎茸は、随分肉厚だね。プリプリしてる。」
「櫨って、上品なお味ねぇ。季節のものよねぇ。」
「この雲丹は旨い。こんなのは初めて食べた。初物だよ。」
 こんな会話をしながら、お年寄り達は、主人が揚げる天ぷらを楽しそうに味わっている。

<つづく>

by oishiimogumogu | 2010-09-29 16:16 | 旨い店


酒・食・器そして旅のたわごと・・・


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