なんだか良く分からなくなるほど食べる旅③(動画つき)

 また、少し更新の間が空いてしまった。週末に外房へ再び行って来たからだ。
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 まだ緑の芝生に囲まれたログハウス。海からの風。そして、手作りの料理。シャンパンとワイン(5人で13本空けた)。天気がイマイチではあったものの・・・って云うか、酔っているとそんな事はどうでもよかった。とにかく、食べ続け呑み続けの二日間。今回は、“ウコンの力”ではなく、唐津で買ってきた“三光丸”のお陰で、胃腸は無事にこの事態を乗り切ってくれた。
 そんな訳で、次から次へと続いて行く、Never ending storyのように・・・(気が遠くなるような更新だ)

 では唐津の旅の続きから。
 ゴージャスな夕食もそこそこ。後ろ髪をひかれる思いで、私は宵山見物に出かけた。夜の20時頃だ。その頃、この旅館に泊まっているお客さん達も夕食を終えて、それぞれ出かけて行く。松浦川の河口に掛る枚鶴橋を渡り、唐津城の堀に掛る城内橋を渡り、札の辻橋を渡って、見学ポイントにやって来た。
 縁日の屋台が立ち並び大勢の人が集まっている。「昼間は、ひっそり静まり返っていて、人も殆ど歩いていないのに、宵山に来ると何処からこんなに湧いてくるんだって云うほど、大勢集まって来るんだよ。」昨年のうちから、ずっとこの祭りに私を連れて来たいと誘ってくれていたhschiyamateiさんから、その様子は何度も訊いていた。
 私達が陣取った場所は、山が通るルートで何度か折り返しがある場所だ。従って、行っては戻って来る山を2~3回見ることが出来る。商店街の店は閉まっているが、2階には何処も沢山の見物客がいた。

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左:4番山 義経の兜(呉服町) 右:5番山 鯛(魚町)

 「ほら来るよ、あっちから。」左龍さんが云う方を見ると、源義経の兜がやって来る。「あ、あれが山かぁ・・・」そう思うと同時に自分の意志とは全く関係がないところで、いきなり心が躍り出す。結局私はお祭り好きなのだ。そう悟った。
 お囃子と太鼓、そして引子達の「えんやっ、えんやー」という掛け声とともに漆の芸術品とも言える山が轟音を立てて通り過ぎて行く。その圧倒的な姿、観客の歓声で祭りは一気に盛り上がる。そしてまた次の山が来る・・・

 現存する山は14機。14の町がそれぞれ運営している。一番山の獅子は文政2年(1819)だというから200年近く前に造られたことになる。詳しい製法は分からないが、きっと沢山の職人たちが心血を注いだに違いない。そしてまた、楽しい作業であったのだろう・・・そんな事を想った。
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 目の前を壮麗に通り過ぎて行く山を見ていると、いつしか「えいやぁ、えいやー」と、叫んでいる。叫ばずにはいられないのだ。そうやって、祭りは人の心を燃やす。先祖代々の血も、はるばる祭りに逢いに来るも想いも、一気に混ざり合いエネルギーなって山を動かしているようだった。それがこの祭りのスピリットなのかも知れない。
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 父親に肩車された小さな男の子。2歳ぐらいだろうか。その子が「あっ、あれが僕が一番好きなヤマだ!お父さん、僕いつから引けるの?」と云った。そんな歳からもう近い将来山を引くこを夢見ているようだ。

 この日、ある山が私たち一行の前を通りかかる時、引子の一人の踵が道路の凹凸に引っ掛かり、ちょっともつれて尻もちをついた。運悪く、その投げ出された足の上に山の車輪が乗ってしまった。大変な事故である。それで、暫く祭りは中断した。事もあろうに、自分の目の前でこんなアクシデントが起こるとは、思いもよらなかった。一部始終を目撃してしまって、ちょっとショックだった。
 怪我をした人は本当に気の毒だった。唐津に生まれ育って、この祭りに賭ける想いは並大抵ではあるまい。
 怪我人が運ばれて祭りは再開したが、今も名も知らぬその人の回復を祈らずにはいられない。

 祭りは、翌日も続く。11月3日は御旅所神行だ。

 その朝の事、同室のメンバーは三々五々起きてきたり、寝ていたり、風呂に行ったりで、今日の曳山見物をどうするつもりなのかさっぱりだ。
 私は左龍さんからのメールで、「8時30分になったら、曳山を見に行くから合流しましょう」と連絡をもらったてはいたが、こちらのメンバーを仕切る人が誰もいない。朝食は8時からと、前日に申告したはずなのに、皆そんなことはお構いなしだ。一人勝手に食べに行っていいものかどうか、宿の掟もどうなっているのか分からず途方に暮れる。
 どうしたものかと廊下をウロウロしていたら、洋々閣の主人と何度もすれ違い気まずい思いをした。諦めて部屋に戻ろうとした時、あまから手帳編集長のご主人も食事処の前で、あたりの様子を見まわしている。

 結局、私達は声を掛け合って、中に入った。聞くところによると、細君は風呂らしい。
 折角朝餉に同席させてもらったのに、元来の人見知り癖で心はガードされ、なんとなくバツが悪い想いをする。思えば、昨日の夕方初めて顔を合わせて、まだまともに話もしていないし、お互いに唐津くんちは初めてで、何の話題も思いつかないのだ。部屋のメンバー全員での食事ならこんなこともなかろうにと、肩が落ちる。きっと彼も同じ気持ちだろう。
 それでも、宿の朝食への興味が勝って、食卓に向き合って座っていた。
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 朝食は、たくさん小鉢がついた粥だった。粥の薬味も3種(昆布の佃煮、ちりめんじゃこ、梅干し)ほどあり、それを少しづつ粥と一緒に味わう。流石に、この薬味はどれも高級で上品な味がした。味噌汁も、豆腐も、漬けものも、サラダもとても美味しかった。
 実は、私が粥を食べたのは、これで2度目である。ずっと意識的に避けてきた。粥というのは米のうま味が全部湯に溶けだして、残ったのはヘンな歯ごたえの米粒だけだ。それが、私には許せない。だから中華粥だって食べない。茶漬けも雑炊もおじやも大好きだが、粥だけはご勘弁だ。しかしながら、こういう立場で代わりを出してほしいと頼む訳にもいかない。昆布もじゃこも梅干しも白飯で食べたらどんなに旨かろうと思うと、余計に辛い。
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 話は少し戻るが、祭りの夜は飲み明かす。宵山から戻った私達の部屋でも、先生を囲んでミニ宴会が始まった。たみえさんが用意してくれた夜食をつまみながら、宿の若旦那が先生の為に用意したウイスキーで乾杯。
 「これは、何時も思うけど、ヨードチンキみたいだよ。」先生はそう仰る。確かに強烈な香りはあるが、美味しい酒であった。それが、グラスに注がれ氷がカランと透明な音をたてる。ちびちび飲んでいるのだが、減って来ると知らぬ間に、グラスが琥珀色に満たされている。
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 夜は瞬く間に更けて行き、楽しげに話していた人達もひとり、またひとりと布団にのみ込まれていく。

 気がつけば、私は完全に出来上がったhachiyamateiさんに絡まれていた。しょうもない酔っ払いのなれの果てだ。私も結構酔っていた。その酔ったおつむで、受け答えの言葉を選んで、どうにか対応していたものの、どうせ明日には記憶にないだろうから、適当に受け流して寝てしまえと考えた。
 「う~ん。そうだよね~。さぁ、もう寝ないと明日早いから寝るよ~。分かったぁ~?」そう云って振り向くと、彼はもう布団に埋まって沈没していた。窓からの月明かりに照らされたあどけない寝顔を見て、結局私は貴重な睡眠時間を彼に貪られただけだったことに気付く。悔しいが、後の祭りである。とにかく、歯磨きだけして横になった。時計は、5時を回っていた。

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唐津神社へ向かう参道の屋台。何で東京ケーキなんだろう? 黒山の人だかりでなかなか前に進まない。ようやく神社に辿りつき、皆でさい銭を撒いて参拝した。

 そういう、一夜を過ごしたお客の胃に、出来るだけ負担がかからないようにと、朝粥は洋々閣の配慮なのだ。でも、後から白飯もあると聞き、明日はそっちにしようと考えていたのに、すっかり忘れて翌朝も粥を出されてしまった。情けない。
 
 もう、食べ終わるかという頃、編集長も合流。Gさんもやって来て、朝食が再び繰り返される。今日の予定を確認するもだれも分からず。この時点で、既に左龍さんご指定の時間に間に合わず、先に行って欲しいとメールする。
 そうこうしているうちに、hachyamateiさんが、起きて朝食のテーブルにやって来る。二日酔いで亡霊のような彼は、指先でレタスを摘まんでいた。

 そんな彼と、体調がすぐれない先生を宿に残し、我々も出かけることにしたが、何処にどうどう行けばいいのやら・・・。ところが、先に行ったとばかり思っていた双龍窟別働隊と玄関先でかち合った。食後のコーヒーを優雅に飲んで待っていてくれたらしい。
 あちらはまとまって行動する能力がある。しかし、こちらはどうもそういうことがうまくないようで、私としてもその事実を受け入れるしかなそうだ。なにせ、体調がすぐれない先生の次におくんち経験があるhachiyamatei氏は、もう皆を仕切る気力がない。少なくとも午前中は使い物になりそうになかった。
 
 そんな訳だから、玄関先で、別働隊の方々と一緒になって、こちらのグループは皆ほっと胸をなでおろした。一行8名は漸く、曳山を見に歩き出した。

つづく

by oishiimogumogu | 2012-11-20 20:20 |


酒・食・器そして旅のたわごと・・・


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