2010年 09月 19日 ( 1 )

秋刀魚を食べに行く


 秋刀魚・・・かぁ。猛暑があまり長引いたのですっかり忘れていたが、そういう時期なのだ。ある方から携帯に「極上品の秋刀魚をむさぼり喰って大喜びの上機嫌だ!(←少々脚色あり)」とメールが飛び込んで来たので、ふと考えた。
 いつもなら、8月の終わりには築地市場の『あんこう屋高はし』で、それこそ極上の秋刀魚を焼いてもらって食べているのに、あの暑さですっかり忘れていた。
 嬉しさのお裾分けなのか、自慢なのか、はたまた挑戦なのか・・・あちらの思惑は分からないが、メールが来て以来、秋刀魚の事で少ない容量の頭がいっぱいだ。どうにかなりそうである。
 
 ようやく涼しくなったし、自分もそろそろ旨い秋刀魚を食べる算段をしなければなるまい。そう云う訳で、今日は秋刀魚を励みに朝から全開で仕事。なんとか時間が出来た。急いで確認の電話。今日の秋刀魚の入りを訪ねる。受話器の向こうから「今日は大丈夫だ。まあ、おいで。」とオヤジの声。どうやらこちらも極上秋刀魚にありつけそうだ。

f0238572_22143362.jpg
  中野駅北口のアーケード商店街は、土曜の夕方のせいか人でいっぱい。自分のペースで歩けずもどかしい。それでも何人もの人を追い越してやっと、『らんまん』に辿り着く。

 「おまちしてました~。」と姉さんが笑顔で迎えてくれた。
 カウンターのネタケースのまん前に陣取り、しばし魚の品定め。おなじみ黒鯛、戻り鰹のタタキ。一夜干しの喉黒、タカベ、烏賊、蛸、鯖、夏の河豚・鰧、それに秋刀魚に鰯が並んでいた。多少は魚の善し悪しを分かるつもりだが、どれも素晴らしい。
 今日は秋刀魚と決めてきたのに、こうなると目移りして困る。オヤジはそれを察してか(というか迷うのは、いつものことなので)「秋刀魚を食べな。今日のはいいから。焼きにして、刺身は鰯でいいんじゃない?あとはなんかすこしつまんで、まだ入れば、鰹も鯖もあるから・・・」流石、心得ていらっしゃる。「松の司」を冷やで頼む。

f0238572_22462051.jpg 突き出しは湯葉包み。出しに漬かった湯葉の中に野菜の煮つけが包んである。この逸品で、上品な酒になる。
 





 焼き秋刀魚の前に鰯の刺身と、焼き茄子を頼む。オヤジの言うとおりだ!この真鰯は、脂がのってとろけるようなのに、生臭みは全くない。おろし生姜と小葱を落とさないように乗せて、薄口醤油で味わう。何も言うことはない。
 

 焼き茄子は、水分の少ない種類の茄子のようで、ほくほくと栗に近い食感だ。甘みがあって旨い。







f0238572_22554087.jpg 
 最近野菜不足なので、隠元の生姜醤油あえをいただく。ぷりぷりの茹で隠元にパンチの効いた生姜醤油が良く合っていて、これがあるときは大抵頼む1品。作り方は素朴なので、自分でもよく作る。私は茹でずに蒸すが、蒸しあがったら必ず氷水で〆る。ひと手間だが、〆ないと余熱で火が入りすぎ、色も悪くなる。

 さて、秋刀魚である。まるまる太ってでかい。ワタの苦味はあくまで上品。築地と比べて焦げていないのが有難い。軽くレモンを絞り、大根おろしを乗せながら頬張る。う~ん、秋刀魚だぁ。何日も前から待ち焦がれた秋刀魚でしか味わえない脂身の極意。スーパーで冷凍ニセ秋刀魚を買わなくて良かった。
「この秋刀魚何処で獲れたの?」
「海で。」
「何処の海よ?」
「北海道・・・」それで、合点がいく。ワタが美味しく食べられるのは、岩手より北で獲れたものでなくてはならない。回遊して南下してくるとどうしても臭みが出るのだ。だから、秋刀魚の時期はまだ続くけど、北の秋刀魚が食べられるうちに食べてしまわねばならない。と、私は思う。間に合って良かった。

f0238572_2318106.jpg 秋刀魚を猫も見向きもしない程、きれいに平らげたら、流石にもう満腹。鰹も鯖も次に来たときの為にとっておこう。
 〆のご飯に突入。お供の子のわた。鶉の卵黄を溶いていただく。ねっとりした独特の食感と塩加減が絶妙でご飯と相性抜群。


 
 天然岩海苔。なんの加工もしていないただの岩海苔。おろし山葵をあえて、生醤油をたらり。これをご飯にかける。磯の香りを食べるようなもの。満腹なのに、ご飯が進む。





f0238572_23281099.jpg 魚のあらの味噌汁。いろんなところで、この手の味噌汁は出てくるが、大抵は大鍋に煮込んである。しかし、ここでは、注文を受けてから味噌汁を作る為、全く味が違う。すっと湯引きしたあら(今日は鯛)で、程良く出しを取る。その出し汁に板さんが背中を丸めて味噌濾しで丁寧に味噌を溶いてるので、魚は臭みだけが取れて、身はぷりぷり。浅葱の風味と最高のコラボレーションだ。とにかく、味噌汁は外せないのだ。

 オヤジは、10代で魚屋に丁稚に出たそうで、この道60年以上だ。釣りキチでもある。店は昔の船大工が作った凝った建物。辛うじて戦災を免れて今に至る。
 とにかく、いつ行っても旬の旨い魚が入っている。天然ものがほとんどだが、その割にお手頃価格なのが嬉しい。魚料理と云っても流行りの創作料理は一切なく、煮る、焼く、造るのみだ(冬は、鍋料理とおでんが加わる)。しかし私は、逆にこの店は、変な創作料理に走ってほしくはない。いまのままがいいのだ。
 あまり教えたくない店の一つである(知っている人は、多いと思うが・・・)。



by oishiimogumogu | 2010-09-19 00:15 | 旨い店


酒・食・器そして旅のたわごと・・・


by oishiimogumogu

プロフィールを見る
画像一覧
更新通知を受け取る

最新の記事

なんだか良く分からなくなるほ..
at 2012-11-28 13:36
なんだか良く分からなくなるほ..
at 2012-11-25 11:09
なんだか良く分からなくなるほ..
at 2012-11-20 20:20
なんだか良く分からなくなるほ..
at 2012-11-14 09:50
なんだか良く分からなくなるほ..
at 2012-11-10 12:45

ライフログ


男の手作り燻製 ― 自慢の肴で今宵も一杯

以前の記事

2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月

お気に入りブログ

ご利用はご計画的に。
ご利用はご計画的に。
+nao日記+
虎魚の愚息の独り言
ペルめし。ラテめし。
ハギーの日和見日記
ひろ窯ブログ

Link

カテゴリ

全体
日々の食卓
つくろうシリーズ
旨い店

器・食器・調理器具
酒・酒器
music
Photograph
その他

最新のトラックバック

検索

ブログパーツ

その他のジャンル

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

料理・レシピ
食べ歩き

画像一覧